晴風万里

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夢は第2の人生である 第3回



西暦2013年睦月蝶人酔生夢死幾百夜


70)中国の戦地で孤立した私たちは、手榴弾を投げ尽くしてしまった。しかたなく地の果てまで逃亡すると雪が激しく降って来た。その場にうずくまって雪がやむのをまったが、しばらくして私はとうとう梶上等兵になった。

71)さっきまで見ていた夢を全部思い出すんだ、吐き出すんだ、とどこかで誰かが怒鳴っていたので、私は目が覚めた。

72)いつかどこかで行ったことがある懐かしい場所。その遠い思い出の場所に限りなく近づきながらも、私はそこにたどり着くことができないのだった。

73)おいらはあいつが憎らしくて殺したんだけれど、牢屋に入ったら国はロシアン・ルーレットでおいらたちを殺すんだ。たまったもんじゃあないぜ。と死刑囚の私は呟いた。

74)返品してくれよ、こんな欠陥商品を作りやがって。しかも修理したのにまた故障しやがって、なにが日本を代表する世界のトップ・メーカーだ。社長を出せ、社長を!

75)いくたびも、またいくたびも快楽の絶頂に達した吉行和子と藤竜也の絶叫で、わたしは朝まで寝られなかった。

76)私たちはしばらく東シナ海をさまよっていたが、やがて同乗していた2人の若者は言葉も上手になったので大陸に残り、私は母国に帰還することにした。

77)私が乗り組んでいる潜水艦の艦長はちょっと変わった人物で、いつもなにやらブツブツ繰り返し言っている。注意して耳を傾けると、「大好きだお、真理ちゃん」と呟いているのだった。

78)訓練の時にも「敵艦見ゆ、大好きだおお、真理ちゃん」、「魚雷発射、大好きだお、お真理ちゃん」と号令をかけるので部下から馬鹿にされながらも愛されていた。

79)艦長は水兵は体を鍛えておかねばならぬという信念のもと、狭い艦内を陸上競技場にみたて、私たちを全力で疾走させるのだった。

80)さてその日は母港の地元民を艦に招待する日だったが、艦長はいきなり若くてきれいな女性の手をつかんで艦内に連れ込み、みずからあちこち案内して回った。

81)艦長は魚雷の格納庫の傍に彼女を引っ張り込んで、「ほらほら、これが水雷だ。こいつで敵さんのどてツぱらに風穴を開けるのだ」と言いながら、いきなりチュウしてしまった。

82)もうこれで何年になるのだろう。私は教団の責任者として毎日新幹線で東京と大阪を往復しているのだが、精も根も尽き果てた。「教祖」などとあがめられ、奉られても、その実態は1個のでくのぼうに過ぎなかったのである。

83)学校の卒業旅行は英国風のグランクルーズだったが、中東だかアフリカあたりで私は集団から脱落してしまった。ここはいったいどこなんだ。チュニジア?それともアルジェリア? 見たこともない風景が広がり、やたら暑い。

84)暑い砂の上に横たわっていると、奇妙な形をしたこれまでに見たこともない大中小のリスがやってきて食べ残しのパンをむさぼり食っている。と、その時黄色い巨大なそして異様に美しい網目ニシキヘビが、リスたちの背後でとぐろを巻いた。

85)私はある地方都市で市の広報誌の編集をまかされていたが、その仕事をロスの私立探偵フィリップ・マーロウの捜査と意識的に勘違いし紫のキャデラックに乗っていたのでさまざまなトラブルを引き起こすことになった。

86)私が下宿していたのはちょっと色っぽい元美人の姥名桜だったが、これが事あるごとに私に首を突っ込んでくるのだった。

87)ローマの皇帝がその教戒師である私にこう語った。6人の男女をとらまえて「3人の男は明日ライオンと闘え」と命じると、その前夜までには3つのカップルが誕生している、と。私が王国から略奪した3つの玉手箱は、セピア色に塗り替えられた。
私はジェットコースターの先頭に第一の玉手箱を置いてこれに跨り、「さあ発車するのだ」と号令をかけたが、玉手箱には車輪がないことと、私の2人の美貌の部下が、第2、第3の玉手箱に無事に跨っているかどうかを終始気に掛けていた。

88)しかし幸いなことにその不安は杞憂であった。私は安心してジェットコースターの突進に身を任せていたが、それがあまりにも天空高く登りすぎたためか、突如玉手箱もろとも地上めがけて真っ逆さまに転落した。
そして猛烈なスピードで地表に激突するまさにその瞬間に、私はもはや玉手箱の中身になんの関心もなく、2人の美少女にも全く欲望を覚えないことがわかった。

89)私は神保町の金ペン堂主人の薫陶を受け、長年の研鑽の末にずば抜けた性能を誇る万年筆を1本2千円で製造することに成功した。それから私は腐女子2名の支援よろしくこれを1本2万円でネット販売したので、ほんのいっときだけは大儲けしたのだった。

90)私は、喉の奥に生えているジャックの豆の木にぶらさがりながら、どこまでも、どこまでも降りていった。

91)26歳の美人秘書付きのオフィスを無料で貸してあげるけど、使いませんか?とある親切な方が申し出てくださったので、私は大川のほうに向かった。オフィスの近くに見慣れない2人の男が待ち受けてして、私を無理矢理銀座に連れて行こうとする。

92)仕方なくいいなりに成って見知らぬバアに入り、飲めないジャックダニエルを一口だけ舐めていたが、トイレに行く振りをしてうまく脱出することに成功した。

93)銀座の地下はものすごく深いところに地下鉄を含めた何層もの広大な地下通路が走っていて、それが大川の向こうまで走っていることを私は初めて知った。恐らく東京の地下には地上を上回る交通網がすでに敷かれているのだろう。

94)やっとこさっとこ前のオフィスに入っていくと、26歳の美人秘書の代わりに62歳くらいのおばさんが一人ぽつねんと座っていた。

95)私の嫁入り先は古い封建的な約束事が根強く息づいている地方だった。はじめは大人しくしていた私だったが、歳月の経過とともにだんだん本領を発揮して、ある日思い切って謎めいた埃だらけの部屋を開けた。

96)まるで江戸時代のような畳の奥座敷には虫に食われた帳簿が何冊も並べられていて、数人の男が会計の実務に従事していた。彼らは私を見ると驚いたが、帳簿を見た私がたちまちこの家の危機的な収支状況を把握したのを知ると、驚きをさらに新たにしたようだった。

97)第2の部屋、第3の部屋と次々に私が秘密の部屋を開けはなっていくと、誰かの注進でそれを聴きつけた夫が、まるで青髭公よろしく目を大きく見開いた。

98)眉目秀麗な彼は、若者を代表して「風次郎」役に選ばれた。この共同体のトップモードをさし示すという重要かつ誇らしい役目だ。

99)私は彼の補佐役をおおせつかり、丘の頂上に据え付けられたインカ帝国の祭壇のような席に座ると、古代の共同体の家や畑がアリのように小さく見渡せた。

100)全身紫ずくめの奇妙な恰好をした「風次郎」はすっくと立ち上がり、「これが俺たちの新しい制服だあ!」と叫ぶと、しばらくしてその声はこだまになって帰ってきた。

101)絢爛豪華な着物の裾から手を入れて豊かな乳房を鷲づかみすると、彼女は厳しい目で私を睨みつけたが、かといって自分から逃れようとはしないのだった。

102)まだ春だというのに夏型の大きなヒョウモンチョウが原っぱでゆらゆら動いている。この品種らしからぬ緩慢な動きだ。しかも巨大なヒョウモンの翅の上に別の種類の小型のヒョウモンチョウが乗っている。

103)私がなんなくその2匹のヒョウモンチョウを両手でつかまえ、これはもしかして2つとも本邦初の新種ではないかと胸を躍らせていると、半ズボン姿の健君も別の個体を捕まえてうれしそうに私に見せにきた。

104)それは確かにヒョウモンチョウの仲間には違いないが、いままでに見たこともない黄金色に輝いており、国蝶のオオムラサキを遥かに凌駕するほどの大きさに興奮はいやがうえにも高まるのだった。

105)私たちはバタバタと翅を動かしてあばれる巨大な蝶を懸命に両手で押さえつけていたのだが、それはみるみるうちにさらに大きな昆虫へと成長したので、もはや彼らを解放してやるほかはなかった。

106)しかし巨大蝶は逃げようとせず、その長い触角をゆらゆらと動かし、「さあ私のこの柔らかな胴体の上にまたがってみよ」、とでも言うようにその黒い瞳で私たち親子をじっと見詰めたので、まず半ズボン姿の健ちゃんがひらりと巨大蝶の巨大な胴体の上にまたがった。

107)息子に負けじと私も別の巨大蝶にまたがり、そのずんぐりとした黒い胴体をつかんでみると、あにはからんやそれはくろがねのような強度を持っていた。

108)私たちがそれぞれの大きなヒョウモンチョウに騎乗したことを確かめると、2匹の巨大な蝶はゆっくりと西本町の子供広場から離陸し、狭い盆地を一周すると、はるか地上の片隅に見慣れた故郷の街や家や寺山、銀色に輝く由良川の流れが見えた。

109)それから巨大な蝶は猛烈なスピードで故郷の街を遠ざかり、波がさかまく海をわたり、大空の高みを力強く飛翔しながら成層圏に達し、そこからまた猛烈なスピードで下降した。

110)ぐんぐん地表がちかづいたので、よく見るとそれは教科書の写真で見たことのある万里の長城だった。気がつくと巨大蝶の姿は消え、私たち二人だけが大空の真ん中にぽっかりうかんでいる。私たちは思わず手と手を握り合った。

111)しかし墜落はしない。無事に飛行は続いている。私たちはそのまま元来た空路をたどって故郷に帰還すると、そこには仲間の巨大蝶が勢ぞろいしていた。その後蝶たちは、住民の飛行機としての役目を半年間にわたってつとめたのちに、南に帰っていった。


なにゆえにかくまで美味なるや藤沢爽風舎がつくる安価な食パン 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-01-26 10:10 | 創作

夢は第2の人生である 第2回




西暦2013年睦月蝶人酔生夢死幾百夜 


33)オフィスではいつも課長と私と部下の3人が同じところに並んでいたのに、ふと気がつくと上司がいない。あたりをきょろきょろ探すと、遥か彼方にたった一人で座っていた。2/1

34)球場では難民救済のためのイベントが行われていた。遠くから小さな箱に向かって阪神のバース選手と札幌芸大の吉田君がボールを投げる。狭いスポットにうまく入れば大成功というわけだが、わたしにはその勇気がなかった。2/2

35)荒波が打ち寄せる真っ暗な洞窟に降りて行くと、そこでは大勢の若い男女がお面をかぶって乱れ騒いでいた。誰かが私を手招いている。2/3

36)私はロシアのスホイ戦闘機を4機抑留した。なぜか、どうしてかは、自分でも分からないのだが。それで亡命することに決めたパイロットたちを私は大阪の寄席に連れて行った。2/4

37)空からぐんと突き出している険しい階段を上っていくと「森本主義者」と書いた哲学者の家があった。どうやら2人の齢老いたインテリゲンちゃんが住んでいるらしい。

38)そのうちの白い髭をはやしたおじいさんが、「これが入場券だよ。好きなのを取りな」と言って差し出した白い布の上には赤、青、翠、黄色などで彩られた美しい鼈甲のような飾りが乗せられていた。

39)ようやく戦争が終わったので、私は氷結したランチを解凍してもらったのだが、その中から見知らぬ男の死体が出てきたのでギャッと驚いた。

40)懐かしい山紫水明の故郷のはずなのに、それはどこかが根本的に変わってしまったようだった。しかし相変わらず渓流には清らかな水が走り、森や原っぱにはさまざまな花が咲いていた。

41)草原の1本道をずんずん進んで行くと、巨大な白いハスの花にとまった白いゴマダラチョウが、大きな翅をゆらゆらさせていた。

42)私は会社員で、ある製品の企画会議に出席していた。黒板には誰が書いたのか「アメリカン・ファンタジー」という英語が大書してある。あまりにも下らない会議なので「忘れ物を取って来ます」と言っていったん帰宅してから出直すと、もう電車がなかった。

43)さてどうしようか、家に帰ろうか、それとも歩いてでも会社に行こうかと駅前で考えこんでいると、暗闇の中でギラリと光る眼があった。ハアハアと喘ぎながら涎を垂らしている狼犬の口は毒々しい赤だった。

44)私の仕事に脇からイチャモンをつける上司。これは間違いなくパワハラだ。そこで私が「これはおいらの仕事だ。お前さんは大人しく引っ込んでろ!」と怒鳴ったら、その声で目が覚めてしまった。

45)若く美しい女をベッドの上に押し倒すと、にわかに欲情が湧きおこって来たので、おもむろに伝家の宝刀を抜こうとしたが、見つからない。必死で探していると、なんとダリの「記憶の固執」の柔らかい時計の隣にぶら下がっていた。

46)オペラハウスのバルコニーの隣の席に、工藤さんが椿姫のヴィオレッタのような衣装でちらと顔をのぞかせた。「あら貴方、お元気だったの?」と尋ねたので、私は懐かしくなって「君こそ元気なの?」と尋ねたら、「生きてしあればと」いうアリアを小さく歌うのだった。

47)それは日常かと思っていたが、どうやら私は探偵オペラに出ていたらしい。第1幕と第2幕では女性が主人公であったが、そこで三一致の法則やそれまでの展開が否定され、ちょうどベートーヴェンの「第九」の歌いだしのような形で、私が進み出るのだった。

48)「こういう短歌を詠むといいわよ」という人がいて、ああそうかなあと思いつつ一晩中考えていたが、けっきょく完成しなかった。私が丹精込めて世話したカエルの産卵の話なのだが、さてどうしたものかなあ。

49)貧乏な私は当時ある上司と部屋をシェアしていた。その部屋の壁面は床から天井まですべて無数のノートブックで埋め尽くされており、他の壁面は同様にことごとく数多の文庫本によって埋め尽くされていた。

50)外出から帰った私が、このアパートのトイレに駆け込んで用を足そうとしていたら、もう一人の別の今中という名の上司が、無理矢理オマルに跨って用を足そうとする。文句を言おうとしたが、彼も下痢のようだ。結局私たちは1つの便器をお尻合わせで使用した。

51)私は北海道の新聞社に入社した。先輩が歓迎会をしてくれるというので、一緒に会場に向かおうとしていたのだが、駅で電車を待っている間に見失ってしまった。仕方なく帰宅しようとしたら、北嶋氏から携帯に電話が入り、駅の反対側の居酒屋で待っているという。

52)あたしはフランソワ。きょう学校で校長先生3万フランもらった。学校の評価基準が変わり、出席・成積・体育のほかに徳育という項目がつけ加わり、あたしのママが死んだ友人のお墓に毎月お花を捧げてお祈りしているからだって。

53)あたしはフランソワ。毎日登校すると、入り口で体を横向きにして懸垂しながら腕の力だけでよじ登り、門番が居る部屋に入ろうとするのだけど、いつも失敗する。すると門番が飛んできてあたしの体を下から抱きかかえて入れてくれるの。

54)あたしはフランソワ。きのう友達の男の子5人がパルチザンに志願して銃を持って学校から出て行った。今朝登校してから窓を開けたら、真っ白いアルプスの山のいろんな所に5つの黒い点が動いていたわ。

55)突然「すぐに来てほしい」という電話が泣き声とともにかかってきて、しかたなくその部屋を訪れると、私の全身が白い芙蓉のような顔の下にある2つの深紅の小さな穴の中にどんどん引きずり込まれていき、またしても取り返しがつかない事態が引き起こされるのだった。

56)「ほんとうに私がいちばん好きなの」と女が訊ねる。「私よりもあの女が好きなんでしょう、もうあの女と寝たんでしょう」と、なおも追及してくる。ああいやだいやだ、これだからいやなんだと、私は夢が早く覚めてくれることを願った。

57)こんな半島の南端にもスタジオがあるのだった。そこではサーファーの若者を主役にしたコマーシャルが撮影中だった。いまふうのきざなディレクターが「よおし、君ここでOK!ボッケイ!と叫んでくれ」と注文するのを、私はうんざりしながら傍観していた。

58)私が懸命に秘匿していた資料や物件がどんどん明るみに出て、周囲の疑惑が一身に集まって来たので、私は潔くすべてを告白して罪をつぐなうことに決めた。

59)うざったい女どもが、私の邪魔をする。堪忍袋の緒が切れた私は、まず右手の拳銃で右側の女たちを殺しはじめたが、今度は左側の女たちが逃げ出し始めたので、左手で別の拳銃を取り出してバンンバン撃ち始めた。これでいいのら。

60)私はその日生涯最後のときを迎えた北の王グスタフだった。忠臣共に遺訓を残らず伝え寝台に美姫を招き、膝に乗せて事に及ぼうとした途端、私はプロレスのセコンドとなって、デブでダメなポンコツレスラーのアドバイスに声をからしていた。「いいか、ゴングが鳴ったらいきなりキンタマキック3連発だ。そうすりゃやあいつも参るだろう。おいお前、聴いているのか!」

61)「ああそうなの、じゃああなたの名前で私がサインすれば、いくらでも交際費が使えるってわけね」と見覚えの無い女がほざいた。
「るせえ、もうもう」と喚きながら私が拳銃をぶっぱなすと、朱に染まって父が斃れた。返す刀で弟にもぶっ放すと、倒れながら彼の父親譲りの牛のように大きな紅い瞳がかすかにほお笑んだように見えた。

62)真夜中に「きゃああ!」という絶叫が聞こえた。女か子供か、はた魔女か?

63)私の教団には「一の山」と「二の山」があって、私は一日おきにそれらを訪問し、宿泊していた。夜になるとその山の宿舎には謎の女が忍び込んでくるのだった。

64)昼と夜の間の境目にはまりこんだ私は、いまが夜なのか昼なのかを考えようとしたが、その考え自体が昼間のものだか夜のものなのか分からなくなってしまった。

65)ピアノの上に女を乗せて膝を割ると、女とピアノが大小高下さまざまな音を鳴らしはじめたので、これはまるでジョン・ケージの音楽のようだと私は思った。

66)清らかな水が流れ、桃の花があちこちで咲いているその里では、上の句や歌に下の句や歌を付けるとただで食事が出たり、出来栄えによっては無料で旅館に泊めてくれるのだった。

67)会社に「女帝」が乗り込んできたために、今までのように自由にタクシーを使えなくなった。しかし最寄りの駅までは10分も歩かねばならぬ。地下鉄に乗ろうと急いでいると部下の女性が脇道で接吻していたので驚いたが、放置して通り過ぎた。

68)私は地方の王に仕える書記官として、その一族の事績を細大漏らさずパソコンに登録し記録に残しておかねばならなかった。しかし日々次々に起こる行事や事件をどのような書式で記録するべきかについて頭を痛め、いまだにその形式を見いだせずにいた。

69)通勤中のリーマンたちを背後から急襲したのは、国家警察だった。彼らは必死に逃げる私たちを大通りの向こうの広い公園に追い込んだ。公園は頑丈なロープで区画され、私たちは現行天皇制や憲法などへの賛否別に分かたれたブースへ閉じ込められた。


なにゆえに学歴や出身地を晒すのかフェイスブックは履歴書ではない 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-12-27 09:54 | 創作

夢は第2の人生である 第1回



西暦2013年睦月蝶人酔生夢死幾百夜

今年の1月から夢日記をつけていましたら、いつのまにやらいっぱい在庫がたまったので歳末大放出いたします。ほとんど毎晩見る夢をできるだけ忠実にメモしたものです。

1)最近保守党の党首になった男から、自分のスピーチライターになってくれと執拗に頼まれたが、そもそも思想も主義主張もまるで正反対の人物なので、固辞し続けるうちに朝になった。13/1/3

2)オーストラリアでは革命が起こっていた。白人とアボリジニが激しい銃撃戦を繰り広げているが、その戦いの理由は判らない。どちらが革命派でどちらが反革命派なのかももちろん不明である。殺されないように逃げまわっているうちに朝が来た。13/1/3

3)それからわたしはようやく渋谷の大きな書店の入り口に辿りつき、そこに置いてあった汚れた布団を2つ折りにしてわたしの体を包み込むと、もう何があってもこのまま朝まで眠りこむぞ、と決意したのだった。13/1/4

4)私はとっくの昔に会社を辞めたはずなのに、当時の仲間が大勢集まってパーティを開いているようだ。事業部のリーダーがグラス片手にやってきて「あんさん、例の件どないなりましたか?」と尋ねる。はて、例の件とは何のことだろうか。13/1/5

5)そうだ忘れていた。吉本隆明にブランド宣伝の提灯持ちの本を書かせてくれるはずの講談社の鈴木編集長と大至急連絡を取らなければ、とんでもないものが世間に出てしまう。1/5

6)現場に駆けつけて見ると、想像以上の大混乱だった。 すでに暴徒と化した連中がてんでに武器を持って襲いかかって来たので、私はやむをえず腰にたばさんだコルトを取りだして先頭の男のどてっ腹めがけてぶちかますと、彼奴は朱に染まってその場に倒れた。 愉快だった。 1/6

7)急いで電車に飛び乗ると、国籍不明の奇妙な駅についた。線路の傍まで巨大な波が次々に押し寄せている。津波の前兆ではないかと私の身の毛はよだったが、誰も心配していないようだ。駅前ではボギーの極彩色の広告看板が「三つ数えろ!」と叫んでいる。

8)ここはどこだか分からないが、どうやら私はがらがらの観光バスに乗って当地にやって来たらしい。しかし観光見物どころの騒ぎではない。なにやら怒り狂った連中がこちらに向かって走って来る。運転手が必死に押しとどめようとするのだが、バスの中に入ろうとしている。1/7

9)「これは乗り合いバスじゃない。券がなければ誰も乗れない全席指定の観光バスだ。」と運転手が怒鳴ったが、暴徒と化した彼奴等は耳を貸そうとしない。「指定席だかなんだか知らないがガラガラじゃないか。早く俺たちを乗せろ!」とまた怒鳴る。1/8

10)そこで俺はまたしても腰にたばさんだ愛用のコルトM1911を取りだして、バンバン撃ちまくると、彼奴等は蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったので、俺はアテネ五輪金メダルの北島康介のように「チョー気持ちいい」と叫んだのであった。1/9

11)昨夜の私はなぜだかリヤカーか人力車のようなものに乗って誰かから逃げていた。ここは中国? それともヴェトナムなのだろうか。ふと隣を見るとなんとイラストレーターの川村みづえさんだ。久しぶりなので挨拶しなきゃと思っていると、人力車はいきなり全速力で発車した。1/10

12)みづえさん、どうしてこんなものに乗っているの? と尋ねると「わたしもどうしてだか分からないの。それよりあなたは?」と聞かれても私にだって分かるわけがない。1/11

13)今度はフランスの郊外を走るローカル電車に乗っている。昼下がりにの車内は人もまばらだ。やっと駅についたので降りると世界中どこでも見かけるショッピングモールが駅前にそびえている。入ると見知らぬ人が「お待ちしていました」と笑顔で迎える。1/12

14)どうやら先方は私のことを知っているらしい。差し出された手を握るといきなり「例のシャツですが平織りにしますか、それとも綾織りで行きますか?」と聞かれた。いったいどういうことなのだろう? 1/13

15)この人が誰なのかは分からないが、恐らく服飾の世界の人であり、どうやら生地の問題でもめているらしいが、私にはなんのことやらさっぱり分からない。はてさてどう答えたものかと天を仰いだが、生憎太陽も星も見えなかった。1/14

16)するとその時、突然「平織り8割、綾織り2割で行きましょう。これがいちばん売れるんです」という声が聞こえたので、誰かと思ってその人物の顔をじっと見るとデザイナーの池田ノブオだった。1/15

17)私が荒れ地に巨大な木の枠をつくり、それを2階建て、3階建てへと拡大していると、人々がやって来て、「おおなんと素晴らしい。あなたは行く宛てのない難民のための住居をつくろうとしているのですね」と口々に言って握手を求めてきた。1/16

18)しかし私はそんなことは夢にも考えずに、ただ自分の夢の中でいたずらをしただけのことなのに、彼らはそれを勝手に拡大解釈して世間に触れまわっているのだ。1/17

19)昨日は大変だった。上司と組んで仕事をするのだが、その上司は「お前は仕事をしなくてもいいから、BGMにマーラーの交響曲を流してくれればいい」というのだ。1/18

20)法隆寺の沈香のような白壇の古木を11本並べておけば、馥郁たる芳香を放ちながらまるでCDラックのようにマーラーの交響曲を演奏してくれるという訳だが、その並べ方が難しい。1/19

21)また白壇の古木を9本ではなく11本というのは、マーラーの9つの交響曲のほかに「大地の歌」と未完の交響曲第10番も含まれているのだった。1/20

22)Twitterのツイートの欄にうなぎを入れ、そいつにチョイチョイ味付けをしてから私は自宅のメールアドレスに発送した。これで帰宅したら美味いかば焼きを食べることができる。1/21

23)ここはどこだ。たぶん中国の古い城塞だろう。私が大きな石積みの間の狭い道を登っていくと行き止まりとなり、そこから見下ろすと目がくらむような断崖絶壁だった。1/22

24)城塞の上からは遥か遠くにそびえる山々や平野を流れる川や中国の古い様式の建物などがよく見えた。青い空の真ん中をさまざまな動物の形をした雲がゆるやかに流れている。1/23

25)疲れを癒しながらしばし絶景の鑑賞に耽っていた私は、自分の仕事を思い出して愛用のソニーの初代ビデオカメラを左の肩に乗せ、この素晴らしい景観を撮影しはじめた。これはちょっと重いが赤と緑の発色が鮮やかなのである。1/24

26)ふと気がつくと私から少し離れた所で、ソニーよりも大きなミッチェル撮影機がカタカタと音を立てながら回っている。昔映画の撮影によく使われた名機をひとりで操作しているのは頭の禿げたオッサンだった。1/25

27)よく見るとオッサンのとなりには、もうひとりもっと頭の禿げたオッサンが立っていて、ジタンを喫みながらミッチェルの回転に留意している。どこかで見た顔だと思っていたらゴダールとラウル・クタールの凸凹絶妙コンビだった。1/26

28)この至高の景色を前にしてゴダールがC'est Magnifiqueというかと思ったが、C'est mieuxといった。ゴダールたちと並んで撮影しながら私は限りなく幸福だった。1/27

29)センスの良くないデザイナーが示したレイアウトを前にしてウームと唸るわたし。明らかに彼奴は無能で悪しき表現物なのだが、ではどこをどう直せと具体的に言えないから困るのだ。1/28
 
30)私はおそらくモンゴルにいて、かなり高さのあるなんとか峠から大平原を見下ろしている。すると京マチ子似の白い着物姿の女性が、わたしに「どうしてもシェルタリングスカイに変えて頂かなくては困ります」と激しく迫るのだった。でも「シェルタリングスカイに変える」って、どういうこと?1/29

31)私が森の中で腰を下ろしていると、人々も思い思いに座っていたが、いきなり2匹の白い犬が1匹の黒い犬と喧嘩をはじめた。白い犬が黒に咬まれて悲鳴を上げているが誰も助けようとしない。人々がすがるような目で私を見るので、しかたなく「シロシロ」と呼ぶと、私のところに飛んで来た。1/30

32)ファニー・アルダンが夢の中で出てきて私に何か語りかけたのだが、ジュリア・ロバーツと同じくらい大きな口が動くのを見ていたので、彼女がなんというたのか忘れてしまった。1/31


なにゆえに遠くをみれば昔を思い出すのだろう目と頭の微かなつながり 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-12-24 10:23 | 創作

さようなら、2013年の夏よ



「これでも詩かよ」第27番&ある晴れた日に第158回


夏が逝く。なぜだか青空が日ごとに薄れて、ぐんぐん遠ざかる。
もう無二無三に暑かった西暦2013年の夏が、チャプリンがちょっと帽子に手をやるようにして、急ぎ足で退場していく。

しかしまだカンカン照りの舗装された道路には、ついさっきまで鳴いていたアブラゼミの死体が転がっている。

セミの傍には、一ぴきの巨大なスズメバチ。
やれやれ夏の間中しつこく私をつけ狙っていたこいつも、ついにくたばったか。

私は彼奴等にこれまでに既に2回も刺されており、体内には毒液が蓄積しているので、
「あと1回刺されたら致死量に達するので、生命の保証はできませんな」
と大船のお医者さんから脅かされている。

そこでいつも近所の朝比奈峠に散歩に行くと時には、彼から渡されたエピペンという注射器をつねに携行しているのだが、黄色い獰猛なスズメバチは、そんなあやうい命の綱渡りをしているおいらと知るや知らずや、いつも執拗に襲ってくるのだ。

なんにも悪いことはしていないのに。
いや、ちっとはしているか。

にっくきスズメバチの隣には、キリギリスやカマキリも静かに横たわっている。
こんな虫も、鳥も、犬も、猫も、独りで生まれて独りで黙って死んでいく。

うちの愛犬ムクだけは、死ぬ時にグググと唸ったが、思えばあれは、飼い主の健ちゃんへの最期のあいさつだった。

自分の落とし前を自分でつける彼らは、じつに立派だ。
最後まで人様に迷惑をかけっぱなしで、未練たっぷりに死んでいくのは、われわれ人間だけだね。


妻と手を取りて急ぐや秋祭り 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-09-27 08:31 | 創作

西暦2011年師走 蝶人狂歌三昧

ある晴れた日に 第102回



「カチューシャ」の転調していくところが好き なんだかワクワクしてくるから
生きる悦びを感じるから

マーラーを好きでも嫌いでもない人がマーラーを名演してもこりゃ詮無いわなあ

痩身長躯で躁鬱でユダヤ人のくせにカトリックで最期にユダヤ教に戻ったクレンペラーのマーラーを聴け

マーラーに神は見えずブルックナーはバッハと同様神を見た人

ハーレムの奴隷となりしデートリッヒ今宵コーランをひとり読むらん

男一匹金玉二つてんでカッコよく死んでやろうじゃん

病院では年齢と生年月日を言わせる。もひとつ「老若男女」と言わせてみなさい

お母さんと西友行きます!お母さんと瀬西友行きます!と叫ぶ君 そうかいもうお父さんとは行かないのかね 行ってくれないのかね 僕の息子のくせに

おいらはイサムノグチの提灯なんて要らないけれど、あの簾だけは欲しい。欲しい。欲しい。

耳を聾せんばかりの大声で電車の遅延を伝えたり鎌倉駅の駅員め

夢の無き国に住まいて夢を見る

一機89億のF35を買わなければいろいろ買えるがな

僻村の孤老となりて冬籠り

喉ちんこ赤く腫れたり午前二時

玉虫を尋ねて行かむ幾千里

ガガズミの赤は野薔薇の赤より紅くしてサネカズラ、ピラカンサ我が家は赤い

じんせいなんてつうつうれろれろつうれれろ 

世の中や粗にして野にして卑なる奴ばかり
 
午前二時また玄関の鐘が鳴る

ダイアナ妃を恋人もろとものみ込みし巴里の暗虚はここにもありしか

WinWinの関係があたくしのコンセプトなどと抜かすこの女狐社長

鎌倉の駅前広場の赤とんぼわれひとともにたそがれてゆく

卑小なる己を神に擬しいと高きところめざす者に呪いあれ

西陽差すしやうぐあい施設の六畳間息子を託し黙して帰りぬ

長身でモデルのように美しい隣家の妻が越す明日かな

年の瀬やバーキンが呉れしリースを飾る

貧すれど貪するなかれ羊雲

かにかくに平成の世も暮れかかる

神仏を一縷の望みと頼りけり


最悪の年がようやく明けたれば少しはましな年が来るらむ 蝶人
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by amadeusjapan | 2011-12-31 09:12 | 創作

9月の終わりの風吹けば



ある晴れた日に  第97回


9月の終わりの風吹けば
チョンザイチョンザイオイーフービー
人世毎日ドデスカデン

川の上には風がある
風の上には山がある
山の上には空がある

チョンザイチョンザイオイーフービー
人世毎日ドデスカデン

空の上には雲がある
雲の上には月がある
月の上にはうさぎさん

チョンザイチョンザイオイーフービー
人世毎日ドデスカデン

うさぎの上には耳がある
耳の上には頭あり
頭の上には天使の輪

チョンザイチョンザイオイーフービー
人世毎日ドデスカデン

輪の上には光あり
光の上にはセミがいて
セミの上には羽根がある

チョンザイチョンザイオイーフービー
人世毎日ドデスカデン

ミンミンツクツクアブラゼミ
無為の奥山けふ越えて 
ここを先途と泣き喚く

9月の終わりの風吹けば
チョンザイチョンザイオイーフービー
人世毎日ドデスカデン


その蟷螂は一本の長く黒い糸をひりだして死んでいた 蝶人
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by amadeusjapan | 2011-09-29 15:27 | 創作

梟が鳴く森で 第3部さすらい 第15回



bowyow megalomania theater vol.1



12月7日 晴

見よ、東海の空明けて、あさき夢見し、酔いもせすん……

ぶどう色の朝やけを見ながら、僕はこの世に生まれてもっとも幸福な朝を迎えました。

太陽が空高く昇りきった頃、のぶいっちゃんはようやく戻ってきました。両手いっぱいのアジやイワシをかかえて……

なんでも眠れないまま砂浜を歩いていたら早朝の海で地引網を引いていた漁師がくれたそうです。

 僕たちはさっそく雑木林の中で火をおこしてとれたての海の幸を焼いて食べました。

すぐに僕たちはお腹がいっぱいになりました。お腹の中にどんな怒りや悲しみが積み重なっているときも、お腹がいっぱいになれば次第にそれがやわらいでいくということを僕はいつの間にか学んでいました。

でも、きれいな顔をした洋子が、のぶいっちゃんのためにせっせとアジのはらわたをとりのぞいて、きれいな指先でよく焼けた肉をつまみあげ、のぶいっちゃんにああんと口をあけさせて食べさせているのを見ると、突然僕のこころの奥にねたましさが首をもたげてくるが分かりました。


健ちゃんにひわいな花だねといわれつつ今朝も咲きたり紅蜀葵 蝶人
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by amadeusjapan | 2011-09-06 14:01 | 創作

梟が鳴く森で 第3部さすらい 第7回


bowyow megalomania theater vol.1


あっと思った時には、その三台のトラックは急停車して、中からねじりはちまきをした背の高い「働く人」と、でっぷりした「遊ぶ人」、そしていちばん年の若い「さすらう人」がドアをバタンと閉めて運転席から次々と飛び降りてきました。

四〇から五〇歳くらいの真面目そうな「働く人」が、のぶいっちゃんの顔をじろりと見て、
「おい、お前たち、どっかへ行くなら乗っけてやろうか」
 と言いました。
のぶいっちゃんが黙って僕と洋子の顔を見ました。僕はどう言っていいのか分からないので黙っていました。
「どおせどっかの施設から逃げて来たんだろう」
と、お腹にぐるぐる包帯のようなものを巻き付け、赤い顔をした「遊ぶ人」が図星を言い当てました。
「君たちをとって食おうってんじゃあないぜ。もし困っているなら、どこへでも連れていってあげるよ」
と、人の良さそうな「さすらい人」が声を掛けました。


物喰えば歯がボロボロとかけていくいずれは全部消えて無くなる 蝶人
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by amadeusjapan | 2011-08-08 11:44 | 創作

ピナ・バウシュ演出ウッパタール舞踏団の「私と踊って」を視聴して


♪音楽千夜一夜 第209夜


ほんとはこれは音楽としてはドイツの古い民謡が効果的に使われていても、音楽以上に演劇と舞踊と音楽が混然一体となった一種の総合芸術なのだが、どこに入れたらいいのか分からないので、ここで千夜一夜することにする。

昨日も今日も風が強く、さっき庭で2羽の紋白蝶が交尾しようという体制に入っていたのだが、風だけではなく、そういう気分にならなくなってしまったので、1尺ほど離れた別々の葉っぱに止まって薄青い筋の入った翅をしっかり閉じて、まだ夕方なのに早い夜に入ってしまったけれど、この「私と踊って」という作品は、ある男と女のまさにそういう関係を劇にしていると思った。

はじめは女が、次に男が、男と女に恋をして、最後の最後に全員が舞台の最前列に勢ぞろいして「「私と踊って!」と叫ぶ時に男と女の切ないまでの純粋存在が真っ裸の無垢の状態で全面開示され、観客の心の奥底を鋭く貫きとおすのであるが、芝居の見どころとしてはそこに至るまでの男女のかけひき、すなわち愛の提示や虚勢や内心の葛藤や絶望や憎悪やらのほとんど見るに堪えない荒々しい展開にある。

青年男女も胡蝶も、できたら好きな相手と性交したいと念じてはいるのだが、昆虫においてすら性交や生殖は生の最終目標ではなくて、その周辺、その周縁に散らばっている歌や踊りや休憩や沈思や買い物や睡眠や蕩尽や暇つぶしにこそ、生の本質、換言すればクチュールというものがある、ということをピナ・バウシュ選手はわれらに伝えようとしているのだ。

言言肺腑を衝くという言い方があるとしたら、これは見見臓物を抉るとでもいうべきパフォーマンスであろう。女を演じたジョセフィン・アン・エンディコットの熱演が感動的だった。


別々の葉っぱで眠る紋白蝶 蝶人
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by amadeusjapan | 2011-06-25 17:05 | 創作

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第41回

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第41回

bowyow megalomania theater vol.1

二人、三人、四人と、殺意に満ちた警官たちが次々にバリケードを飛び越えて僕たちのとりでの内部に侵入してきました。

血に飢えた体格の良い男たちは、僕と文枝と洋子の上から見境なく警棒を力任せに打ちおろし、僕たちの頭も顔も身体のあちこちもたちまち傷だかけになり、あまりの痛さにうめきながらあたりを転がりまわっていました。

と、その時でした。

かさにかかって僕たちの全身をめった打ちにしていた黒い男たちが、あちこちでバタバタと倒れ、口から血ヘドを吐いて地面にたたきつけられました。見ると手に手に木切れや鉄棒を持った少年少女たちが歓声をあげながら警官を撲っています。

「やれ! やれ! 徹底的にぶちのめせ!」

と喚きながら特別攻撃隊の警官のお腹の上で跳躍しているのは、まぎれもなくのぶいっちゃんでした。ほとはるちゃんは、と見れば、洋子と文枝に襲いかかっていた警官の首にロープをぐるぐる巻きにして両足を肩口にあてて、えんやこら、えんやこら、どっこいせ、と掛け声をかけながら、両手で力いっぱい引っ張っています。

その警官は、とうとう口から舌を出して息絶えました。


なんでもかんでも忘れてしまうそのうち自分さえ忘れてしまう 茫洋
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by amadeusjapan | 2011-05-26 16:20 | 創作

あまでうすが綴る音楽と本と映画と詩とエッセイ
by amadeusjapan
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