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晴風万里

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ある晴れた日に第144回



「薔薇は薔薇であるは薔薇なり」とガートルードスタイン喝破せり

布団干し前後左右にひっくり返しその合間に青空を見る

モデルの道端ジェシカより元体操の池田敬子選手が好きだ

またひとりパパゲーノ見つけたり広大なるロシアの森に

「キャワイイ」は思考停止の悪魔の言葉君を蕩かし骨抜きにする
 
鎌倉の平屋の居間に独りいて朝から晩まで本などを読む

わが書きしメールを消さずその上に返信する人の無精を憎む

震災で南に逃げた人々の気持ちは分かるが好きにはなれない

「朝毎読日経」といわれしはいつの日かいまコンビニに毎日はない

芸術家は霞を食べるしかないのだがその霞がどこにもないと次男嘯く

ホーホケキョだんだんうまくなってゆく鶯いったい誰が教えているのか

南西諸島特産のオオゴマダラがなんで鎌倉の空を飛んでるんだうれしいようなヤバイような妙な気持ち 

私語止めぬ学生たちを怒鳴りつけるさりながらそは私語ゆえの怒りなりしか

ああいくら考えても思い出せぬポールニューマンが私立探偵を演じたあの映画

滑川で2匹のアオダイショウが泳いでいた2013年7月4日を蛇の日となす

おいらはドラマー やくざなドラマー おいらが怒れば虎馬トラウマ呼ぶぜ

「こんにちは」坂道行き交う人々がみな挨拶するという尾道行きたし

梅雨の晴れ間に布団干し前後左右ひっくり返しその合間に青空を見るそんな一日

ザアメンの匂いとどこが異なるか言葉には出来ず栗の木過ぎる

別るるは少し死ぬることと覚えしがこの身を刻む痛みなりけり

小泉邸の屋根に群がるカラスども人類滅亡の陰謀巡らす

ありとある墓に番号が振られたる霊園の道空に伸びたり

大いなる山を潰して聳え立つすべての墓に夕日差したり

耕君がおだやかな1日を過ごしてくれるただそれだけが我が家の願い

さて問題です。我が家で次に死ぬのは誰でしょう?

平成を消して西暦に直す人あり恰好よしと思う

今日も元気だニッポンチャチャチャ日本全国明るいナショナル

天皇を元首にしたい政党に投票するとはあんたも莫迦ねえ

憲法改正すれば日本及び日本人が突如生まれ変わという誇大妄想

侵略をしたことがないと言い張るならば今度おめえがそういう目に遭えばよーく分かるだろうぜ
 
糞袋Aと糞袋Bがお互いに臭臭申すクソクソクソ

景気より大事なことがあるはずだけどとりあえず全部忘れて安倍チャン万歳

父の日に息子が呉れし赤パンツ

麺麭のため働き続けたり六月尽

青梅雨や自同律は不快なり

じぇじぇと呟きながら今朝の夏

夏山を裾をからげてすたすた坊主

千年の愉楽閲してリラの花
 
蓮咲くや世界でいちばん弱き国

アンジェリーナ・ジョリーの乳房の如きメロンかな

小暑なれど大暑と並ぶ暑さかな

初蝉や父よ母よと鳴くなるか

向日葵やこの国は何処へゆくならむ


誰ひとり赤信号を無視しないここに見えざる国家の君臨がある 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-31 07:48 | 詩歌

佐藤賢一著「徳の政治」を読んで



照る日曇る日第611回

著者畢生の史伝「小説フランス革命」も最後から2冊目の第11巻となり、もはや一瞬も眼を離せぬラストスパートに突入した。

本巻のハイライトは1789年7月14日のバスチーユ襲撃と1792年8月10日のチュイルリー宮殿襲撃をそれぞれ主導したカミューユ・デムーランとジョルジュ・ダントンの悲愴なギロチン送りであるが、極左突っ張り野郎のサン・ジェストの突き上げを食らって左のエベール派と右のダントン派を粛清しつつ「徳と恐怖政治」のセンターラインを突っ走らざるを得なかったロベスピエールの苦悩が、普段は冷静な歴史家として振舞っている著者にしては珍しく、仏蘭西特産の心理小説風にツッコンんで描破されている。

デムーランの美貌の妻リュシルから、夫を救ってくれという命懸けの懇願(それも着衣を脱ぎながらの!)を受けたロベスピエールは激しく動揺し、「革命を裏切ったデムーランは処刑せざるを得ないが、じつは初めて会ったときから貴女が好きだった!? どうか結婚してくれ」なーんて口走るのだが、これって本当のほんと?

そもそも氷のように冷静な「徳の権化」ロベスピエールに対してなんの人間的魅力も感じていないのに、突如飛び出したのは、夫の恩赦どころか空気をまるで読まない愛の告白だった、というまるで舞台裏を見てきたような話。

かくて女は男を激しく軽蔑して死を賭して居直り、男は最愛の女性をギロチンの刃の下に失うという、双方にとって最悪の結果となった、と著者は自作自演してのけたのであった。

いずれにしても、愛する者を幸福にするために献身した革命が、その不可避的な進行ゆえに不可避の対立を生みだし、結局愛する者を最悪の不幸に陥れるというパラドックスを巡って、断頭台に引きずり出されたダントンとデムーランが最期の瞬間まで続ける必死の対話こそ、この力作の最大の読みどころといえよう。


鎌倉の平屋の居間に独りいて朝から晩まで本などを読む 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-30 10:55 | 読書

ジョン・フォード監督の「シャイアン」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.524

本邦では西郷隆盛をみこしに担いだ西南戦争が戦われていた頃、アメリカでは先住民に対する最終処分が酣となって勇猛夢想を謳われたシャイアン族が政府との約束を反故にされ、食うや食わず、生きるか死ぬかの危急存亡のときを迎えていた。

御大ジョン・フォードは保護地区に押し込めたシャイアン族を管理する騎兵隊の大佐リチャード・ウィドマークの眼を通して、先住民を徹底的に追い詰める傲岸不遜な征服者と、滅びゆく孤高の戦士集団の哀しい運命を単なるインディアンやっつけ西部劇ではなく、時代的必然の中での悲劇として重層的に描いている。

迫害されるシャイアンの同伴者として逃避行をともにする心優しきクエーカー教徒キャロル・ベーカー、最後に救いの神のように登場する司法長官のような奇特な人が本当にいたのかどうかは分からないが、そういう夢のような存在にフォードが仮託したなにかを読み取ることはたやすいだろう。

なかなか面白い一挿話の中でダジシティの保安官ワイアット・アープ役で登場したジェームズ・スチュアートがいい味を出している。

大いなる山を潰して聳え立つすべての墓に夕日差したり 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-29 08:27 | 映画

荻上直子監督の「トイレット」を見て



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.523

海外の先進国へ行って有名なホテルに泊まっても、本邦の多くの家庭で具備されるにいたったウオシュレット付きのトイレを備えているところは少ない。

欧米人は米穀を食さないために便が乾燥しており、肛門を温水で洗浄する必要がないというもっともらしい説明を聞いたことがあるし、環境問題のキモは要らざるハイテク機能で無駄な電力をむさぼり喰らうこの最新版便器を撲滅することなりとする尖鋭的学者のご託宣を耳にしたこともあるが、やはり一度使ってしまうと病みつきになるのがこの文明の利器である。

しかしこの映画に登場する唯一の日本人「ばあちゃん」役のもたいまさこがこのタイプのトイレを好みながらそれを試すことなく他界すること、またTOTOがこの映画に協賛していることを除けば、この奇妙なタイトルはかの小津安次郎の映画文法を思わせるこの素晴らしい映画の本質にはまったく関係が無い。

もたいの「ばあちゃん」と彼女の3人の外国人の孫を巡る静謐かつ不可思議な家族の魂の交流の物語は、観る者をひとしく深く感動させるであろう。


「こんにちは」坂道行き交う人々がみな挨拶するという尾道へ行きたし 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-28 11:01 | 映画

ジャレド・ダイアモンド著「昨日までの世界上巻」を読んで



「これでも詩かよ」第14弾&ある晴れた日に第143回&照る日曇る日第610回

「老いたる者をして静謐の裡にあらしめよ。そは彼等こころゆくまで悔いためなり」
と中原中也は歌った。

しかしジャレド・ダイアモンド教授によれば、世界各地の伝統的小人数社会では、高齢者を遺棄するそうだ。

北極圏のイヌイット族、北米の砂漠地帯のホビ族、南アのウイトト族、豪州のアボリジニの間では、老人を食事も与えずひとりで放置し、死なせてしまうことがあるそうだ。

スカンジナビア北部のラップ族、カラハリ砂漠のサン族、北米のオマハ族とクテナイ族、南アのアチエ族では、野営地から野営地へ移動する間に老人を置き去りにするそうだ。

シベリアのチュクチ族やヤクート族、北米のクロウ族、イヌイット族では、老人を「自発的に自殺」させたり、自殺を教唆するそうだ。

チュクチ族では老人の自殺幇助や尊属殺人が許されており、
ニューブリテン島のカウロン族では、夫に先立たれた妻は、ただちに家族によって絞殺されるそうだ。

アチエ族では老人は窒息死させられ、絞殺され、刺殺され、生き埋めにされ、頭を斧で割られ、首や背骨を折られるそうだ。

ああ、信州の真冬の楢山に欣然として赴いたおりん婆さんよ!
あなたの気の毒な友達、けなげな同志は、世界中に存在していた。

そのうちそのうち年金制が破綻した大規模国家社会でも、
無一文の後期高齢者を有機粗大ゴミ扱いで、海や山にじゃんじゃん捨て始めるのだろう。
これでは老人はおちおち悔いてもいられない。

足元から忍び寄る飢餓の時代にあって、若者たちによって遺棄される運命のその晴れた冬の日、
天よ! 我ら老いたる者をして、かのおりん婆の如く胸を張り、誇りかに山の奥のその奥へと歩ましめんことを!


憲法改正すれば日本及び日本人が突如生まれ変わるという誇大妄想 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-27 10:11 | 読書

おろ抜く



「これでも詩かよ」第13弾&ある晴れた日に第142回


コマツナの種を2月に播いて、3月におろ抜いたので、
5月には緑の葉っぱをおいしく頂くことができた。
ちょっとドレッシングをつけ、サラダにして。 

アサガオの種を5月に播き、1週間後におろ抜いたので、
7月には空色の花が咲いた。
どこまでも透きとおった青空のような。 

オキナワスズメウリの種を4月に播いて、6月におろ抜いたので、
7月には小さな星のような白い花が咲いた。
まあるい緑の実が、8月にはあざやかな赤に変わるだろう。

7月に全国で種が播かれたジミンソウ。
21日の日曜日、誰もがついうっかりしておろ抜くのを忘れてしまったので、
おそらく花は一輪も咲かないだろう。


小泉邸の屋根に群がるカラスども人類滅亡のその後を論ず 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-26 10:05

イザベル・コイシュ監督の「あなたになら言える秘密のこと」を見て



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.520


 工場ではたらく美しいけれども人と相いれないどこか頑迷な娘に秘められた恐るべき秘密と個人的体験が、たまたま出会った男性との交情のなかでゆるやかに解き放たれてゆく愛と人間性回復の物語である。

 その運命の場所をなんと北海油田の掘削所に設定したことがこの映画の成功の最大の要因で、火事で全身にやけどを負った男と悲劇の女とのふれあいを観客は息を呑んで見詰めることになる。

 この映画の登場人物が、「ヒトラーがトルコによるアルメニア人大虐殺をひきあいに出し、それらの蛮行がもはや歴史の片隅で忘れ去られていると断じてから、ユダヤ人の虐殺を開始した」と語る言葉には重みがある。

 私たちは10年も経たないうちに戦争や津波や原爆や原発の惨劇を忘れ去ってしまのである。

「薔薇は薔薇であるは薔薇なり」とガートルードスタイン喝破せり 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-25 10:34 | 映画

イザベル・コイシェ監督の「死ぬまでにしたい10のこと」を見て



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.518

とりあえず善い旦那に出会って可愛い2児に恵まれたまだうらわかい23歳の女性が、突然がんで余命2,3カ月と宣告され、さあどうするというところから始まる哀切極り無き物語。

死ぬまでに刑務所に居る父親に会いに行くとか、娘たちが18歳になるまで毎年の誕生日の言葉を録音しておくとか、亭主以外の男と情事を体験するとか、その亭主に新しい妻君を用意してやるとか、全部で10のテーマを設定して次々に実行していくという話なのだが、愛する人々のために残された時間をフルに使って可能なすべてを実行する主人公のその冷徹なまでの意思と勇気には感嘆の他は無い。こんなことは、私には絶対にできない。

原題は「My Life Without Me」だが、このままの方がはるかに良い。

「平成」を消して「西暦」に直す人あり恰好よしと思う 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-24 11:36 | 映画

ブレッソン監督の「ラルジャン」を観て



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.517


偽札をつかまされた善良な市民が怒り狂って、おなじく善良で無辜の市民をまさかりで殺戮するもんだろうか? なんどみても私はここでつまずく。されど殺意は悪人善人を問わずすべての凡人の心底に潜在しており、むしろ善人の殺意の中にこそ殺人の本質は明確に姿を現すのだろう。誰にでもある殺人への意思。なれど実行となれば、話は別だと思うのだが。

ドストエフスキーならぬトルストイの原作とは、ちょっとした驚き。考えているうちにだんだん怖くなってしまう。俺だってやるかも。

いまの凡百の映画なら青年がまさかりを振り上げたあとの血まみれの軌跡を克明に映像化するのだろうが、さすがに哲理の人ブレッソンはそんなバカなことはしない。

布団干し前後左右にひっくり返しその合間に青空を見る 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-23 14:10 | 映画

今井正監督の「にごりえ」を見て



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.515


いずれも樋口一葉の3本の原作を久保田万次郎の監修の脚色で今井正が演出しているが、モノクロームの端正な色彩が美しい。

「十三夜」では嫁ぎ先の夫から虐待され子を捨て実家に戻る決意を固めて父母を訪ねた若妻が因果を含められて泣く泣く大家に戻る途次で車引きの幼馴染芥川比呂志と邂逅する。

「おおつごもり」は、女中の司葉子が叔父叔母が必要とする金子を吝嗇な商家の妻から盗み出したが、奇跡的に罪に問われずに済むようになる話。

 「にごりえ」は、美貌の売れっこ芸者が宮口精二との腐れ縁を切って金持ちの役人の元に走ろうと夢見ながら、すべてに絶望して行きずりの男と心中して果てる哀れな情話であるが、全体に投げやりでアナーキーな心情が流露していて哀切。ここに日本あり。

糞袋Aと糞袋Bがお互いに臭臭申すクソクソクソ 蝶人
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by amadeusjapan | 2013-07-22 08:31 | 映画

あまでうすが綴る音楽と本と映画と詩とエッセイ
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