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晴風万里

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なにゆえに第5回~西暦2014年皐月蝶人花鳥風月狂歌三昧



ある晴れた日に第240回

なにゆえにいともたやすく卒業するのか宝塚AKB私の卒業は私が死ぬ時

なにゆえにいともたやすく人は死ぬたやすくは死なぬと思いこみしに

なにゆえにこの障がいを治せぬか医学はなにをしているこの30年間

なにゆえにいってらっしゃいいってきますと言い合うのかそれが今生の別れになるかもしれないので

なにゆえに本邦随一の美術館を取り壊す八幡宮に祟りがあるぞよ

なにゆえに障がい児者は生まれたか健常者の愚かな知恵を暴き出すため

なにゆえに全ての時計広告が10時10分を指している私なら9時半にするのだが

なにゆえに三白眼と猫背になりしや長ずるに及んで自恃を無くした

なにゆえにあのめくるめく快楽を体験できないのか自閉症の男の子にして 

なにゆえにかくも醜い日本語を話すのか君が弾くヴァイオリンは美しいのに

なにゆえにみな違う演奏になるのかまったく同じスコアなのに

なにゆえにピレシュは右腕に刺青しているのかショパンよりそっちが気になる

なにゆえに除染除染と騒ぐのか放射能を移転するに過ぎないのに

なにゆえに40wの電球を枕元に置くの夜中に目覚めても退屈しないから

なにゆえに朝から気色が悪いのか着衣に僅かな乱れがあるゆえ

なにゆえに1晩に2度も3度もトイレに行くのか夜食のお茶を飲み過ぎたから

なにゆえに人はそこまで強くなれるのかおのが弱さを抱きしめるから

なにゆえにいつも上機嫌に過ごしていたのか今は亡き愛犬ムクよ

なにゆえに桜が散っても春が来ぬ STAP細胞はあるのだろうか?

なにゆえに男のくせに香水つけるここへこい一発ぶちかましてやろう

なにゆえに冥土に向けて旅立たぬ天下を揺るがす歌一首詠めぬゆえ

なにゆえに本体価格で表示する消費税など無きがごとくに

なにゆえに真昼間からタクシーは点灯してる勿体ないからライトを消すべし

なにゆえに集団自衛権に異議を唱えぬ君が戦場へ行くんだよ

なにゆえに「山彦乙女」を読まないか主人公の苗字が宰相とおんなじなので

なにゆえに鶴澤錦糸の太棹が泣く七世名人竹本住太夫丈との別れの歌ゆえ 

なにゆえにレガートもポルタメントもやり放題スットコドッコイ、ストコフスキー爺


なにゆえに参戦理由を探してる中国北朝鮮の影に怯えて 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-31 10:52 | 詩歌

サマセット・モーム著金原端人訳「月と六ペンス」を読んで~「これでも詩かよ」第84番



ある晴れた日に第239回&照る日曇る日第710回


金原氏の新訳が出たので読んでみたが、旧訳よりもすらすら読める。
しかしすらすら読めるのはいいことなのか悪いことなのか、
本当はよく分からない。
聖書のことが頭にあるからだ。

「新約聖書」でも「旧約聖書」でも
私がすらすら読めない旧訳を好むのは、
それが文語体の名文であるからではなくて、
意味が明快な良い翻訳文であるからだ。

共同訳による口語体の新訳はすらすら読めるが、
いわゆる翻訳調の文章もけったくそが悪く、
ちゃんと意味が通らないヌエのような日本語なので
全然読む気がしない。

そういえば最近岩波文庫なども猛烈な勢いで新訳を出し始めているが、
かつての名訳はどうするんだろう。
2種出し続ける余力はないはずだから、
新版と同時に廃本にするのではあるまいか?

いまのうちに旧訳を買っておかないとヤバイかもしれないな、
などと思いつつ、
この文豪モームの超有名なベストセラー小説を
くいくい読んでしまいました。

どこかゴーギャンを思わせる主人公の画家チャールズ・ストリックランドは、
やはりタヒチの絶海の孤島で、傍目には悲惨な、
けれども本人にとっては満足すべき波乱の生涯を閉じるのですが、
息子が売れない絵描きをやっている私には、読むにつれ胸蓋がる一冊でありました。

生前は一枚も売れず、死んでから天才画家と持ち上げられるストリックランドより、
下らない絵でもばんばん売れるストルーヴェのような作家になって欲しい。
そういう切ない親心がひとかけらでも盛り込んであったなら、この文豪の本ももっと売れただろうに、とつい考えてしまう、極東の島国にへばりついている老人でした。


なにゆえに全ての時計広告が10時10分を指している私なら9時半にするのだが 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-30 10:52 | 読書

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第7回



西暦2014年睦月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.179


今度のNHKの会長のアホ莫迦発言には驚いた。政府が右に行きすぎたら、急いで左に走ってバランスをとるのが中立で公正な「皆様のNHK」の仕事だろう。世論調査の無作為抽出と同じ手法で最初にひっかかった人物の方が、おそらく彼よりましだと断言できる。1/27

教科書に領土を明記するそうだ。ロシアが北方領土を不法占拠しているのは明白だが、尖閣、竹島の帰属については学者でも意見が分かれているし、時期尚早だ。私も少し調べてみたが、完全に日本領とは言い切れない。

もしも都庁の隣に原発があって、そいつが今度の大震災で大爆発したら、景気と雇用が命より大事な都民たちも、ようやく「やっぱり原発即ゼロは正しかった」などと喚きたてるのだろう。1/28

安倍蚤糞がどうなろうが、このまま自称右翼の軍国主義者の舵取りに任せていると、私たちの意思や願望とはまったく無関係に、突然中国と戦端を開くという事態が起こってしまうということだ。1/27

むかしは金の切れ目が縁の切れ目だったが、いまは右か左かが縁の切れ目。政治的見解の相違は人世観の相違よりも谷間が深い。百年の恋も政治でお別れ。昨日までの恋人は今日の敵となり、憎悪と殺意の対象となる。1/27

クラウディオ・アバド伊都ボローニャに死す。80歳。もっともっと長生きしてほしい名指揮者だった。晩年のルツェルン音楽祭における音楽を楽しみ、これと自在に戯れるような神仙境はまさに現代芸術の奇跡だった。1/21

ベームと初来日したアバドがあんぐり口を開けてウィンフィルを振ったベト7は最悪。詰その後ベルリンフィルのシェフとなっても駄目で、ようやく一皮剥けたのがシェフ退任前後にガンに冒されながらライブで振ったベト全集。実に大器晩成の人である。1/24

晩年になってもアバドのブルックナーは駄目。マーラーは晦渋さと無縁で地中海の光と影が交差するような演奏がユニークだったが、代表作といえばやはりオペラ。ロッシーニの「理髪師」ヴァルディの「シモンボッカネグラ」あたりだろうか。ロンドン響とのメンデルスゾーンも良かった。1/24

私がもし都民なら、今回の選挙では弱者視点が明快な宇都宮選手に投票するだろうな。他の選手たちの「反原発」は大歓迎だが、原発以外の問題についての政策が不透明で人物がみな後ろ暗い。新知事には不要不急の五輪も返上してもらいたし。1/20

どんな戦争も愚かな行為であり天への大罪であり、無事平穏にまさる仕合わせはないと承知しているにもかかわらず、みずから戦争に近づいていくこの人物の愚かさを何に譬えればいいのだろうか。1/18

文は人なりというけれど、私はむしろ音楽だと思う。それがどの作家であれ、私たちは文章の意味内容の下を流れているさまざまな音楽に聴き入っているのだ。

人間は自分の心の中にある要求に応じて大事なものを発見しなければならないのです。ドナルド・キーン 1/15

私は文章に剥き出しの「思想」だけがあって、ユーモアやアイロニーのない作家や評論家の作品は読みたくない。そういう人たちの精神は偉大であるかもしれないが、不健康なのだ。

醜い肉体が必死になって美しい世界を支えている。ああ、こういう共存の中に文明というものがあるのだな。辻邦生 1/15

議会制民主主義への不信と絶望が渦巻く時、ファシズムと専権独裁制への根拠なき願望と期待が膨れ上がる。われわれの父祖たちが辿ったいつか来た道が、いままた我々の前途に見え隠れしている。歴史は繰り返すのだろうか。1/9

日本の企業が環境広告を垂れ流し始めたのが2000年代からで、それは民主党政権時代に全盛を迎えたが安倍政権の誕生でぷっつりと跡を絶った。それは「人と環境と地球に優しくしない時代」の到来を意味している。1/8

安倍首相の顔が何かに似ている、とずうっと思いめぐらしていたのだが、ついに分かった。彼はラ・フォンテーヌの寓話に出てくる無限膨張自爆カエルに似ているのだ。1/8

いくら株価が上昇しても賃金は増えていないし、「第3の矢」はとっくの昔に行方不明となっている。少子高齢化と財政赤字、資源エネルギー不足社会の中で、成熟経済からいま再びの、あるいは半永久的経済成長をめざすという発想それ自体がおかしいのではないだろうか。1/8

成長するためにはまたぞろ大量の資源エネルギーを投入して、大量生産、大量消費の回路を再構築しなければならないが、じつは私たちの心の底ではそのような新高度成長社会に対する欲望や薔薇色の幻想、まして達成のための情熱はすでに失われているのである。1/8

アベノミクスの成功を信じているのは安倍首相だけであって、半信半疑でカエルの後に続いているレミングたちも、消費税導入による株価暴落などが惹起してカエルが自爆すれば、けっして海には飛びこまないだろう。1/8

頭を使って世界を解釈したがるヒョウロンカはますます繁殖しているが、世界を少しでも変革しようと実際に手足を動かしている人間はますます減少しているようだ。

雨の中、花に水をやる少年を、君は馬鹿というか、それとも天使というか。1/8

ふだんからあまり付き合いの無い人に年賀状なんか出さないほうがいいという考え方もあるし、いやだからこそ出した方がいいという考え方もあるなあ。1/8

黒のバックに黄色の文字のブログを、いったい本人以外のだれが読むのだろう。
そうか、他人には読ませないで、ただ自分のためだけに書いているのか。1/7

次々に新しい年を迎えてはそいつを見送ることが、だんだんわずらわしくなってくるなあ。1/6


なにゆえにかくも醜い日本語を話すのか君が弾くヴァイオリンは美しいのに 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-29 14:11 | エッセイ

夢は第2の人生である 第12回




西暦2013年師走蝶人酔生夢死幾百夜


久しぶりに大学を受験した。5科目のうちひとつでも成績が良かったら合格できると勝手に思い込んで、ろくに問題が解けなかった数学や生物の答案はださなかったら、落第してしまった。失敗、失敗。耄碌、耄碌。12/31

長らくこの駅で改札係を務めてきたのだがいよいよ定年間際となり、行きかう学生たちと顔を合わせるのもこれが最後かと思うと胸にこみ上げるものがあるが、いちばん気になるのはいつも駅の片隅で薔薇を持ったまま誰かをずっと待ち続けている深窓の才媛ふうの謎の美女だった。12/30

寅さんが生き帰って生き返って「男がつらいよ」の新作が完成したというので中野君の招きで浅草松竹に出かけたが、両隣のコンパニオンが体を触るのと周囲の男たちが煙草をもうもう吹かすので私は飛び出して半島の先端に座って海を眺めていたがコンパニオンは追いかけてきてなおも触りまくるのだった。12/29

大災害に遭った私たちは、懸命に逃れて安全な建物の中に逃げ込んだのだが、階段の途中で後ろを振り返ると、背の高い息子の顔が見えたのでやっと安心できた。12/29

前回の人寄せ興行にオランダのチューリップフェアを打ち出したところ、思いがけず集客があったらしく、社長はいきなり新参者の私を指名して「次はなにをやってくれるんだい?」と訊ねるのでちょうどその時たまたまトドプレスの小黒氏を懐かしく思い出していた私が「トド」と答えると、社長は「海獣ショーだね」と泣いて喜んだ。12/27

大学の建築科で渡辺ゼミに所属する私は、生真面目な学生でありながら国家特殊秘密探索に従事するテロリストでもあり、毎日のようにシリア人やイスラエル人を暗殺しているのでいっこうに気が抜けないのだった。12/26

居間でミサ曲を聴いていたら、地震でもないのに突然家ががたがたと揺れ動き、半分くらい傾いたところでようやく踏みとどまった。これはいったいどうしたことだ。おおこわ。12/25

「一輪の彼岸花が咲いている 世界一弱い国でいいじゃないか」という自作の短歌をプリンしたTシャツを着た私が、名古屋城を見物していると、歌人の岡井隆氏が「お、なかなかイイね」といわれたので「これは日経歌壇で先生に選んだ頂いた歌ですよ」と説明すると「そうじゃったかね。忘れとったよ」と仰った。12/24

第九条をプリントしたTシャツを着て、「日本国憲法」を再出版された元小学館編集者の島本脩二さんと二人で新宿御苑に花見に行くと、天皇陛下によく似た人が「おや、これはなかなかいいですね」といわれたので差し上げると、安倍首相に似た男も「私にもぜひ」というので本と一緒にプレゼントしてやった。12/24

部落への道を急いでいる私の前に姿を現したのは、何枚もの畳や様々な家具でしたが、道の真ん中に転がっているそれらを乗り越えながら私がなおも前進しようとしていると、無惨に壊れた大きな家と壁が立ちふさがり、それ以上の侵入を拒んでいるのでした。12/23

日本と戦争状態に入っている外国にたまたま滞在していた私は、「断固戦争反対」を唱えて街頭をうろついていると、たちまち巡査に誰何され、ただちに気違い病院に連れ込まれたのだった。

絶海の孤島にたつ高層建築のガラス張りの部屋に住んでいた私は、若月嬢に誘われてビルを降り、船に乗って本土に住む彼女の家を訪ねたのだが、いつまで経っても彼女は私を解放してはくれなかった。12/22

私は、店長以下全員がホモのNYのイタリアン・レストランで、パスタを食べようとしたのだが、彼らは「美味しいパスタの作り方を教えてあげるわ」といって私をぐるりと取り囲んで、いっかなパスタを食べさせてはくれなかった。12/21

しかなく別のレストランに入って念願のパスタを食べようとしていると、今度はホモではないヘテロとおぼしき店長が、「たったいまテロリストからこの店に爆弾を仕掛けたという電話があったのですぐに外へ出て下さい」と叫んだので、仕方なくそのまま逃出した。12/21

私たちは広い野原のあちこちにテントを張って、モンゴル人のような生活を楽しんでいた。青空の下で朝から晩までいろんな人のテントを訪ねて、屈託のないおしゃべりをしたり、御馳走になったりお茶を飲んだりしたが、それは慶長の秀吉の醍醐の花見に少し似ていたかもしれない。12/20

かなり有名な画家であり、翻訳家でもある中年の女性の下請けの仕事を、私は長い間担当していた。彼女は名前のみで実際の仕事はぜんぶ私に丸投げされていたのであるが、私は絵や語学の素人なので、いつも苦労に苦労を重ねてその仕事をやってきたが、彼女は絵筆も辞書さえ持っていなかった。12/19

かつて愛した少女と別れた私が泉岳寺の近くで地下鉄の駅を探していると、道端の植物になんと南国特産の巨大なコノハチョウが止まっているのをみつけたので、息を凝らして近づいて右手の親指と人差し指でつかまえ、ギュウと胸を圧迫すると、蝶はその鋭い歯で私の指をチクリと刺した。こいつもしかして吸血コウモリではないだろうか?12/17

誰もがあまり雑誌を買わなくなってきたので、突然わが社のかつての有名雑誌「えりぬき」の休刊が決まった。私は「えりぬき」の若くてきれいな女性編集長のところへ行って慰めようとしたのだが、彼女は泣き崩れて誰の言葉も耳に入らないようだった。12/18

南洋のその島の三箇所は非常に危険だから「絶対に近づかないように」と領事らに警告されていたにもかかわらず、私は丸腰でそこを訪ねて、島民たちとなごやかに交歓していた。12/17

ブランドイメージを守るためには、あなたと広告部と外部のデザイナーのロゴタイプをいつも同じパターンで使うように徹底しなければなりません、と私が述べると、その世界的に高名なデザイナーは苦虫をかみつぶしたような顔をした。12/16

北島君のカメラがいいなあ、欲しいなあと思って1万円札を差し出して「これを譲ってくれないか」といいながらよく見たら、デジカメではなくアナログの古くてボロボロの機種だったので、出したお金をひっこめました。12/15

隣の家からどんどん人が出てくるのだが、みんな手に手に「ゆすらうめ」がいっぱいなった枝を持ちながら、うれしそうな顔をしている。うっすらとピンクに色づいたその実をみているうちに、私も欲しくなって隣家に入っていった。12/15

気がつくと私はどんどん流され、黒潮の思いがけない速い流れに乗って列島を南下しつつあった。遥かかなたには富士山の白く小さな峰が望まれた。12/14

格調高い英国製スーツに身を包んだ永田氏は、私の質問に対して、「スーツの下にポロシャツを着てもいいんじゃないの」と微笑みながら答えた。12/14

眠っている私の口の中に女の舌が入り込んで来た。驚いていてそっと目をあけてみると、それは蛇の赤い裂けた舌だったので、私はそいつの首を噛み切ってしまった。12/13

電通映画社の松尾さんが「僕はね、あなたが仰ったとおり、いやそれ以上の映像をUCLAで撮影してきましたよ」というと、傍らにいて電通の古川氏が「ではこれで自宅までどうぞ。書き方はおわかりですね」といいながらタクシー券を呉れた。

田舎の駅で降りた若者たちは、電車から自転車を下ろしてサイクリングに出かけた。しばらく彼らの後を追ったが、どんどん距離が離れて行く。私にはランニングシューズが必要だと気付いたので、近くの商店街の靴屋に入ってあれこれ試している間に、時はどんどん過ぎていった。12/11

昔の知り合いのOという女性が個展を開くというので、私は知らずに百万円超の資金を援助していたらしい。それと知った妻が驚き怪しみ怒ったのは当然のことだったが、もっとショックだったのは私の方で、私はその事実をつい今しがた知らされたのだった。12/10

熱砂に埋もれた精霊教会に、突如手に手に機関銃を握り締めたアルカイダの兵士たちが乱入し、西欧からの3名の観光客を銃殺したので、私はあわてず騒がず死体を祭壇まで運び上げて神に祈りを捧げているうちに、テロリストたちは教会から立ち去った。12/9

今日の授業は駅前の別館です、と突然事務室より通告されたので私がその教室を探し当てて入ると15名くらいの見知らぬ学生がどんちゃん騒ぎをしていたのでうるせえと一喝して授業を始めようとしたが出席簿がない。いつもなら助手が取ってくれるのだが誰もいない。12/8

仕方なく授業を始めたが、誰も聞いていないようなので、私は自分の声に耳を傾けながらどんどん没入していった。しかしその教室には時計が無く、私も時計を持っていない。夢中になって喋り続けていると、突然学生たちが一斉に退席していった。いつのまにか時間が来たらしい。12/8

寄宿舎のコインランドリーで洗濯をする時はいちおう受付に申し込むのだが、ほとんどいないし、いても出てくるのが遅い。それで勝手に洗濯していたら、突然回転が止まってしまった。隣の学生にどうしたらいいか訊ねたら、そのうちに動きますよといって漫画を読んでいる。12/8

NY暮らしもそろそろ終わりだというのに、自堕落な私は遊び回ってばかりいて卒業制作に全然手がつかず、迷宮のような寄宿舎の中を朝から晩まで徘徊していた。12/6

原宿の木下歯科で櫻映社の石田さんに会ったら、彼の右脚が木になっていた。軍国主義のアホ莫迦右翼内閣が中国と戦端を開いたために、千駄ヶ谷小学校も、竹下通りも表参道も青山学院もミサイル攻撃で消滅していた。12/7

その事業部で新ブランドを立ち上げることになり、2人のデザイナーが新しい店舗デザインを競うことになった。しかし私が支援してやることになったデザイナーは実力も自信もなく、ただただ世界中をかけずり回ってはひいでたアイデアを盗もうと腐心しているのだった。12/4

砂漠の真ん中に生えているクヌギの樹の緑の葉っぱに、なんとコムラサキが止まっていた。私は息を凝らして近より、見事に捕まえた。親指と人差し指ではさんで蝶の胸をぐぐっと押さえると、彼女は死にもの狂いに抵抗したので私はうろたえ、それ以上力を加えることが出来ない。12/6

小久保という男に貴重なビデオ・コレクションを確保するように命じておいたのだが、ハイハイと返事ばかりはよくて実際はなにもしないずぼらで抜けめのないこの男は、案の定
致命的な過ちを犯していたのだった。12/6

この事業部組織には私を含めて2名のマネージャーしかいないのだが、面白そうな仕事はほとんどもう一人の男に集中しているので、頭に来た私は、勝手に彼の仕事をどんどんやってしまったところ、それにようやく気付いた男が、案の定血相を変えて怒鳴りこんで来た。12/3

メンズブランドのデザイナーのみどりさんは、黒を基調にした素敵なメンズウエアをデザインするのだが、必ずユニセックス&ウイメンズ用の服も作ってしまうので、経営者の私は非常に困惑しているのだった。12/2

地中海に面した港町南仏セットの海岸通りで、私は万事休していた。グラン・ササキと呼ばれた大親分は殺されたし、中親分は官憲に逮捕された。本来ならばプチ・ササキである私がそのあとめを継がねばらぬが、その大義名分が見つからないまま、私は白いポンティアックを激走させた。12/1


なにゆえに集団自衛権に異議を唱えぬ君が戦場へ行くかもしれないのに 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-28 11:44 |

「Rudolf Serkin plays Beethoven11CD」を聴いて



音楽千夜一夜第329回


ルドルフ・ゼルキンが弾いたベートーヴェンの5つの協奏曲と全曲に近いソナタを収めたお馴染みの激安セットですが、どのCDもすこぶる聴きごたえがあります。

ゼルキンという人は「謹厳実直」を絵にかいたようなピアニストで、ひとつひとつのスコアを舐めるように丁寧に丁寧に音に変えてゆく。

だからホロヴィッツの豪胆さやギレリスの鋭さ、アルゲリッチの輝かしい生命力などはないけれど、その誠実無比なピアノを聴くほどに偉大なる楽聖の音楽への献身にうたれ、思わず背筋を伸ばし、居ずまいをただしてしまうような、まあそんな演奏なのですね。

ですからこの11枚は、「もうベトちゃんなんかにゃあ飽きた」とか、「あれはもう古すぎる時代の終わった音楽じゃ」とか嘯いている人が聴くと、うってつけなのではないでしょうか。

誰ひとり観客のいない寂しい広場で、誰のためにでもなく、楽聖ベートーヴェンに捧げるために、ひとりのおじいさんがコツコツと演奏している。

そんな光景が浮かびあがってくるような、これぞクラシックの原点!というような極め付きの演奏です。


なにゆえにピレシュは右腕に刺青しているのかショパンよりそっちが気になる 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-27 17:18 | 音楽

スティーヴン・ザイリアン監督の「オール・ザ・キングスメン」をみて



bowyow cine-archives vol.646


田舎のしがない役人から一躍ルイディアナ州の知事になりあがって清濁併せのむ大活躍をしたのちに自滅してゆく主人公をショーン・ペンが熱演している。

彼の身振り手振りをまじえた熱弁が、冨者に不平と不満を持つルンペン・プロレタリアートの支持を集めてゆくところは、かのイトレルやこちらの自称右翼の国家主義者のそれを思い出させて、なかなかに印象深いものがあった。

はじめは純粋な正義感から立ち上がった青年がいったん権力を手中に収めるととんでもない遠くまで独走し、「全員がおいらの子分」という極点にまで達してしまうという悪しき前例は枚挙にいとまがないが、そういう悲喜劇が私たちの目の前でいままさに繰り広げられているのである。


 なにゆえにみな違う演奏になるのかまったく同じスコアなのに 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-26 03:46 | 映画

ジェシー・ネルソン監督の「I Am Samアイ・アム・サム」をみて



bowyow cine-archives vol.645

「オール・ザ・キングスメン」で狂気の独裁者を不気味に演じおおせたショーン・ペンが、ここではなんと小学5年生程度の知能しかない知的障がい者を演じている。

 ペンには愛する娘がいて2人は一緒に暮らしたいのだが、世間やその法律は彼らの絆を引き裂こうとする。それをだんだん本気になって支援する売れっこ弁護士をミシェル・ファイファーがおいしい役どころで助演している。

 ペンの障がいはうちの長男と同じ脳障がいの自閉症だと思われるが、彼は小学5年生程度といいつつかなり言葉も上手に使えるし、対人関係も良好で、これはいまの用語では高機能自閉症とかアスペルガー症候群という範疇に入る自閉症者であろう。

 同じ脳障がいであるとはいえ、うちの長男のような普通の古典的な自閉症者は、これほど巧みに社会に溶け込み、言語・行動・労働・コミュニケーションなどの面で自立することなど夢のまた夢だから、ああうらやましいなあと思いつつ見ていた。

けれどもいちばん羨ましかったのは、ペン選手がホームレスの女性とセックスして娘を産んだことだった。こういう幸福に恵まれる自閉症者なんて、実際にはほとんどいないだろう。

 高級ではなく低級自閉症男子の最大の悲しみは、人世で最大の快楽である女性とのセックスを体験できないことだろう。


  なにゆえにあのめくるめく快楽を体験できないのか自閉症の男の子にして 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-25 10:05 | 映画

平成桃太郎音頭 ~「これでも詩かよ」第83番



ある晴れた日に第238回


一、桃太郎さん 桃太郎さん
海に浮かんだ歯舞、色丹、国後、択捉
全部わたしに くださいな

二、やりましょう やりましょう
 これから北の征伐に
 ついて行くなら あげましょう

三、行きましょう 行きましょう
 あなたについて どこまでも
 仲間になって 行きましょう

四、そりゃ進め そりゃ進め
 一度に攻めて攻めやぶり
 つぶしてしまえ 北の熊

五、おもしろい おもしろい
 のこらず四島攻めふせて
 分捕物を えんやらや

六 桃太郎さん 桃太郎さん
 海に浮かんだ尖閣竹島
 全部わたしに くださいな

七、やりましょう やりましょう
 これから西の征伐に
 ついて行くなら あげましょう

八、行きましょう 行きましょう
 あなたについて どこまでも
 仲間になって 行きましょう

九、そりゃ進め そりゃ進め
 一度に攻めて攻めやぶり
 つぶしてしまえ 西の 犬

十、おもしろい おもしろい
 尖閣竹島攻めふせて
 分捕物を えんやらや

十一、万々歳 万々歳
 お伴の犬や猿雉子は
 勇んで車を えんやらや

十二、桃太郎さん 桃太郎さん
 これであらかた片付いた
 今度は東を攻めましょう


なにゆえにマムシグサと君は呼ぶ髭があるから浦島草なのに 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-24 09:35 | 詩歌

国立劇場で「七世竹本住大夫引退公演」をみて



茫洋物見遊山記第150回


名人竹本住大夫丈が引退すると聞いたので、終日糠雨そぼ降る半蔵門まで駆けつけ、風薫る皐月人形浄瑠璃の饗宴に列することができました。

住太夫丈の引退狂言は「恋女房染分手綱」の「沓掛村の段」の後半「切」の部のみでしたが、さすがは人間国宝の白鳥の歌、登壇するだけで大向こうから万雷の拍手が沸き起こります。

しかも舞台の上では吉田文雀、吉田簑助のご老躰があいつとめ、人間国宝三名人併せての豪華揃い踏みですから、大坂の古典芸能鑑賞感覚零市長はともかく、平成の俄か江戸っ子ならこれを見逃すわけには参りませんて。

されど音吐朗々とは聞こえがよいけれど、蛮声や金切り声で怒鳴る未熟な太夫が多い中、さすがに御歳九〇に手が届きかけた老丈は誰の目にも顔面蒼白と映り、もはやそのような元気な声音は出そうと思っても出せませぬ。

よって全体に詞の意味を噛んで含めるような温厚にして滋味深い発声で終始し、これが満員の聴衆にかえって大きな感銘を与えましたが、隣に座った太棹の鶴澤錦糸の目に浮かんだ一掬の涙が、なによりもこの偉大な浄瑠璃語りへの送別と私の目には映りました。

この日の演目は、この引退狂言のほかに前半は「増補忠臣蔵」、「卅三間堂棟由来」、後半は「女殺油地獄」「鳴響安宅新関」でしたが、文楽の完成度で比較すれば夜の部の二演目の圧勝で、できれば住太夫丈もこちらに出て欲しかった、というのはないものねだりでしょうね。

近松門左衛門の傑作「女殺油地獄」は、「徳庵堤の段」「河内屋内の段」の後を受ける「豊島屋油店の段」における、川内屋与兵衛による豊島屋の女房お吉惨殺シーンが、やはり最大のみものです。

歌舞伎でも有名な、もはや芝居とは思えない地獄絵図をこれでもか、これでもかと繰り広げるのですが、緊張感漲るこのクライマックスをたった一人で語りきった豊竹咲大夫と太棹三味線を鳴らし切った鶴澤燕三の絶演、そしてその凄絶な殺しを担う与兵衛役の桐竹勘十郎の劇演が、「絶対的善者と絶対的悪者の修羅場」をば、われら観客の胸の中で吹きだす血と油で彩るのです。

トリにおかれた「鳴響安宅新関」も思がけない御馳走で、大夫七名、三味線八掉による巨大オーケストラの強奏に合わせて、踊りに踊り狂う武蔵坊弁慶の吉田玉女の操演は、観る者の心を、あはれ遠いみちのくの青空へと導くのでした。


なにゆえに鶴澤錦糸の太棹は泣いている七世名人竹本住太夫との別れの歌ゆえ 蝶人



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by amadeusjapan | 2014-05-23 10:51 | 芸術

「山本周五郎長編小説全集」第13巻を読んで



照る日曇る日第709回


黒澤監督によって映画化された「五辦の椿」と「山彦乙女」から構成されている。

「五辦の椿」は薬種屋「むさし屋」の一人娘しのが実の父母、母と性的交渉のあった男たちを次々に簪で刺殺していく復讐譚であるが、いかに薄情な父母であるとはいえ、またいかに育ての父親への恩愛に感謝しているとはいえ、自分にもその血が流れている淫蕩な母親とその交渉相手をあやめていくのか、いくら考えても理由が分からない。

黒澤映画で香川京子がどんどん男を殺していくときにも妙な話だと思ったのだが、原作を読んでその謎が一層深まった。

もう1冊の「山彦乙女」は読み始めてまもなく、安倍半之助という主人公の名前が戦後最悪最低の宰相の苗字をどうしても想起させるので、続きを読む意欲が萎えてしまった。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。山本周五郎先生にはとんだとばっちりでお気の毒だが、もう二度と手に取ることはあるまい。


なにゆえに「山彦乙女」を読まないか坊主憎けりゃ袈裟まで憎くて 蝶人
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by amadeusjapan | 2014-05-22 10:17 | 読書

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