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晴風万里

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鎌倉でいちばん美味しくて、良心的なイタリアンは?



バガテル-そんな私のここだけの話op.171 &鎌倉ちょっと不思議な物語第307回

たまたま鎌倉に住んでもうすぐ40年になんなんとしているわけですが、当時は昔ながらの商店や食べ物屋さん以外にほとんどなにも無かった田舎町に東京資本のいろいろなお店がどんどんできて、観光客も増えてきました。

例のユネスコ遺産騒動も手伝ってか、最近はアホ莫迦テレビが見境なしにそれらの飲食店や土産物屋を取材し、それまで住民が敬して遠ざけていた超超不味い店にまで長蛇の列ができているのは、バカバカしさを通り越してちょっと怖いような気持ちにもなります。

そんな町に私がたまたま長く住んでいたからといって、色々なところを食べ歩いているわけではないのですが、最近私が入れこんでいる「Trattoria Fonte Kamakura」(トラットリア フォンテ カマクラ)というイタリアンを紹介したいと思います。

その名前が示す通り、リストランテではなく、よりカジュアルで家庭料理風のメニューを供するこの小さなトラットリアは、 鎌倉駅東口から5番のバスに乗り、7分くらいでつく「岐れ路」停留所を降り、進行方向にある「岐れ路」の信号を越えて2分歩いた「大御堂橋」の信号の手前にあります。(途中右側に違う名前のイタリアンがあるので間違えないように)

ここはイタリアに留学して料理を叩きこんだ若いシェフが赤ちゃんが生まれたばかりの奥さんと2人でやっているこの店は、とれたての鎌倉野菜や近海の新鮮な魚などが見事に生かされており、そのくせ値段がとても安く、いつ訪れても心から満足させてくれる超お薦めのトラットリアです。客の大半は近所の住人ばかりというのも気に入っているのですが、来鎌倉の節はどうぞその手軽な素晴らしさをお試しください。

店のHPはhttp://trattoriafontekamakura.com/

奥さん手書きのブログはhttp://fonte22.blog.ocn.ne.jp/


なにゆえに同じ水曜日に休むのかお向かい同士のイタリアンレストラン 蝶人



by amadeusjapan | 2014-01-03 10:47 | 鎌倉案内

さようなら「青砥」



鎌倉ちょっと不思議な物語第244回&バガテルop146


いつもその前の道路をバスで通っていながら気がつかなかったのだが、青砥橋のバス停の近所にあった家庭料理屋の「青砥」がこの3月に閉店していた。

素材を吟味した質朴な家庭料理を上品な家庭婦人が饗するこのひなびた民家の店がこの地に開店したのは、戦後間もなくのことであったらしい。

すぐ近所には浄妙寺や報国寺があるというのに観光客が少なく、いつ行っても空いていてリーズナブルな値段でシンプルな四季折々の日本料理を供してくれるこの店は私の大のお気に入りで、親族の冠婚葬祭の集いにもよく利用したものだった。

離れの日本間の別室では、滑川の向こうの杉林や竹林、庭の植え込みの木々が来客を歓迎してくれるのだが、各室の部屋の床の間には孤高の洋画家熊谷守一(もりかず)の書「五風十雨」が掛けてあった。

いつぞやの集いでもその立派な書をみんなで褒めていると、お店の方が特別サービスで守一95歳の折の書「一去一来」も見せてくださった。最晩年の枯れた書体が背景の軸物の薄茶色や床に活けられた秋海棠と映えて情趣深いものがあった。

 ちなみに「五風十雨」とは5日ごとに風が吹き、10日ごとに雨が降る農作物にとって最善の状態をさし、「一去一来」とは、ひとり去ればまた別の人が訪れる世の中の無常迅速をいうが、鎌倉生まれの鎌倉育ちの由緒ある名店が去ったあとにはいったいどのような珍客が訪れるのであろう。またあの店のおばさんたちや守一の名品はいったいいずこへと流れてゆくのであろうか? 

閉店を告げるポスターの上を、今日も秋風が吹き過ぎる。


さらば青砥五風十雨の恵一去一来の所縁哉 蝶人



by amadeusjapan | 2011-10-25 15:23 | 鎌倉案内

永井荷風、西洋料理を論ず



ふあっちょん幻論第40回 メンズ漫録その18 断腸亭主人紳士洋装論最終回


ゼントルメンともあろう人物が、洋服に憂き身を窶しても料理にはてんで構わないのはまことにおかしい。

そもそも西洋料理の出来栄えは、コンソメ、吸い物を味わえば、そのすべてがわかる。フルコースなど喰らう必要はないのである。

1926年(大正15年)現在、本邦の西洋料理のベストは、横浜・神戸のホテル、銀座、神田小川町の順である。されどデザートや洋酒の備蓄が弱いのは残念なり。白ぶどう酒はボルドー産は甘すぎて食事に適せず。すべからくライン産を備えよ。

銀座周辺地区においての第一位は銀座竹川町コットなりしが、今はなし。日比谷帝国ホテル、築地明石町オテルサントラルよろしからず。けだし東都最美味は虎ノ門東京倶楽部なるべし。されど外交官、華族集会場なれば身分なきものは出入りしがたし。

銀座南鍋町の風月堂良し。木挽町精養軒、芝口有楽軒、京橋三橋亭だめなり。麹町富士見軒、新橋金春通り壷屋よし。

東京市中でアイスクリームが登場したのは明治32、3年頃のことなり。当時はチップを1割与えしものなり。

浅草公園の料理屋に個々のテーブルなく、NYウオール街のレストランのごとくカウンターで食事するスタイルの食堂あり。これ本邦の最新型スタイルなるべし。

されど、売春婦を写真と切符で買う国民は、世界広しといえども日本国のみならん。浅ましきこと限りなし。


嵐の夜西御門の哲人セネカのごとく逝けり江藤淳 茫洋

雷鳴が轟き渡る西御門セネカのごとく自刃せし君 茫洋



by amadeusjapan | 2009-02-22 15:47 | エッセイ

雑賀恵子著「エコ・ロゴス」を読む



照る日曇る日第190回


「存在」と「食」をめぐる著者の思考は、時空を超えて軽やかに飛翔しながら私たちを未踏の領域に導いていく。

「最初の食欲」では食べるということの本質が解き明かされ、「遥か故郷を離れて」ではカインとアベル以来私たちが殺してきたものを見つめ、「草の上の昼食」、「パニス・アンジェリクス」では大戦中の兵士や船長が直面した殺人と食人の現場における「倫理」のありかについて光を与え、「ふるさとに似た場所」では、私たちの生の本質は「骰子一擲」であり、その不断の歩みに回帰すべき場所はないこと、「嘔吐」では私たちが他者、他の存在とかかわる劇場の中で生きていること、「舌の戦き」では舌が他者との交通の歓びを味わい、その快楽の記憶を呼び起こす器官であること、「骸骨たちの食卓」では、私たちがたとえ檻の中に捕われたカフカの「断食芸人」であろうとも観客の眼差しとは無関係に愚鈍に生きるべきこと、「ざわめきの静寂」では私たちは瞬間毎に新たに立ち現れる存在であること、が叙事詩のように力強く、抒情詩のように美しく語られる。

そして著者が終章において、まるでサッフォーのように、あるいはまた「星の海に魂の帆をかけた女」のように次のように語るとき、私たちはこの誠実で真摯な探究のひとまずの結論を、大いなる共感とともに受け止めないわけにはいかないだろう。

「言語を持ったわれわれは、歴史を持つ―すなわち過去を振り返り、傷みを感じつつ検証することが出来るということでもある。わたしたちは死すべきものであるのだから、生は他者の死との連関の中で繋がれるものだから、だからなのだ、根源的な殺害の禁止は、絶対的なものであり、つまり他者の殺害ばかりではなく、自己の殺害の禁止をも含むものなのだ。」

「生きるとは、ともに在ることであり、倫理とは、生きようとする意志のことだ。…言葉でもって、生きる場所の論理を語ること。確かに、それは、どれほどの試みを積み重ねても、失敗し続けるだろう。だが、言語によって、われわれは歴史をもったとともに、未来というものをわれわれの思考の中に導き入れたのだ、未来、希望というものを。」

この本は、著者の存在を賭した精神の大旅行記というべきだろう。


♪屋根の上アンテナ立て終えたる2人連れ風に吹かれて煙草のみおる 茫洋



by amadeusjapan | 2008-11-20 17:26 | 読書

あまでうすが綴る音楽と本と映画と詩とエッセイ
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