人気ブログランキング |

晴風万里

タグ:ファッション ( 45 ) タグの人気記事




文化学園服飾博物館で「暑さと衣服」展を見る



茫洋物見遊山記第60 回&ふぁっちょん幻論第64回

うだるような暑さの中で「民族衣装にみる涼しさの工夫」と題した恰好の展覧会を見物しました。

この節はスーパーの付いたクールビズとやらで全国で落ち目の百貨店のみならず青木青山春山ユニクロなどのメンズの売り上げが浮揚しているのは慶賀に堪えません。先日は環境省の伊集院光のように醜く豚太りした役人がなんと派手なデザインのアロハシャツを一着に及んで登所しておりましたが、ここまでスーパーが過熱逆上すると嫌な感じを通り越していい加減にしてくれと叫びたくなります。

クールビズについては、これが本当に二酸化炭素排出に貢献しているのか否か、女性のそれが等閑視されているのは何故か、このような行きすぎた簡素化、カジュアル化がはたしてビジネスと服飾のあるべき姿形なのか等々さまざまな疑問が沸き起こって参りますが、ここではクールビズそのものではなく、それに関連するもっと興味深い2つの事象について触れておきましょう。

ひとつは過去三〇年以上に亘って服飾デザインのみならず衣食住遊休知美商品世界を主導してきたカジュアル化現象の終焉とその反動です。最近のパリコレやミラノコレ、車のデザインの保守反動セダン化や耐震化住宅の要塞化などはそのいささか早すぎる予兆といえるでしょう。

次は列島の「燃えよドラゴン熱帯化現象」です。
例えばアパレルについては旧来の秋冬物とアウターウエア重視の企画内容を春夏物&インアー主力に逆転させる必要がありますし、他の業界にとっても地球温暖化の進行によって年中亜熱帯国と化した我が国のマーチャンダイジングをどのように変容させるかは重要な課題となるでしょう。

熱に浮かれてそんなあほらしいことを考えながら東南アジアやアフリカなど世界中の夏の民族衣装を見物していた私の眼に飛び込んできた、「節電節エコで摂氏二八度の労働条件に耐える究極のスマートウエア」。それはなんとパプアニューギニアの先住民族が愛用しているペニスウエアでした!

一糸もまとわず一本のペニスウエアだけで銀座七丁目を闊歩する。これこそ、この夏もっともイケテル、クールビズファッションではないでしょうか?


*なお本展は来る9月24日まで東京新宿の文化学園服飾博物館にて開催中。休館日は日曜日&祝日、夏季休暇は8月13~20日。


全国の男の顔色なからしめ花咲き誇る三千世界 蝶人



by amadeusjapan | 2011-07-19 13:37 | ファッション

文化学園服飾博物館にて「ヨーロピアン・モード展」を見る



茫洋物見遊山記第58 回&ふぁっちょん幻論第63回


これぞ欧州200年モードの決定版。18世紀のロココ時代から、モーツアルトの時代のローブ・ア・ラ・フランセーズ、19世紀の英国のデイドレス、20世紀前半のイブニングドレスを経て、1969年のマリークワントのエプロンドレスまで全時代の女性のファッションを一堂の元に俯瞰できます。

特に興味深いのは1910年代の曲線的有機的アールヌーボーが1920年代に突如アールデコの直線的鋭角的モダンへのルビコン渡河的に豹変するところ。服飾史におけるアールヌーボー時代は1900~1910年、アールデコ時代は1910~1920年というわずか2decadesで区分されるそうですが、胸は豊満に、ウエストはぎゅっと絞り、横から見ると大きなS字型フィットアンドフレアが、ウエストを絞らないシンプルなミニドレスへと180度、いやそれ以上の路線転換を遂げる。これほど短期間に女性の服飾のありようが激変したことは古今未曾有だったのではないでしょうか。そしてこの構造改革の延長線上に、シャネルのあの見事なビジネスウイメンズスーツが誕生したのです。

また先日の英国ロイヤルウエディングの記憶もわれらの耳目に新しいところですが、本展の歴代ウエディングドレスの特別展示も見ごたえあり。来たる6月11日まで開催中です。(日曜祭日は休み)


傷ついた脳を持って産まれし少年をペロペロ舐めてムクよ癒せ 茫洋



by amadeusjapan | 2011-05-10 08:58 | ファッション

文化学園服飾博物館で「アンデスの染織」展をみて


茫洋物見遊山記第53回&ふぁっちょん幻論第62回

アンデスといえば私のカボチャ頭には、新宿南口でよく見かける汚らしい身なりの楽団が演奏している「コンドルは飛んで行く」やマリオ・バルガス=リョサやインカやナスカ文明くらいしか思い当たりませんが、ここいらへんではおよそ2500年に亘って独創的な文明文化が栄えてきたそうです。

現在のペルーからボリビア北部の総称であるアンデス地方では、古来良質な木綿やアルパカなどの獣毛と豊富な染料に恵まれたために、織物、編み物、染物など多種多様な染織展開されてきました。そしてこの会場を訪れた人は、紀元前1000年のチャビン期から2-4世紀のナスカ、6-7世紀のワリ、12-14世紀のタンカイやチムー、そして16世紀の有名なインカ文明の時代まで、場所と時期を移しながらその様相を変化させてきたアンデス様式の多種多様な染織のバリエーションを堪能することができるでしょう。

鮮烈な赤をバックに映える単純素朴な鳥や人物や魚、わが国の万葉時代をしのばせる貫頭衣、独特の神話的な文様などがわれらを遠い異郷へと導きます。

以上、例によって同博物館の資料を元にご紹介しました。なお同展は来る3月14日まで開催中。日曜・祝日は休館です。


現代より古代が優れるもの多し文化文明人間思想 茫洋



by amadeusjapan | 2011-02-11 13:12 | ファッション

文化学園服飾博物館で「世界の更紗」展を見る



茫洋物見遊山記第35回&ふぁっちょん幻論第60回

更紗と聞けば、♪スカンポ、スカンポ、ジャワ更紗という歌を遠い日にどこかで聞いたことを反射的に思い出します。

調べてみると北原白秋作詞、山田耕作作曲の「酸模の咲く頃」という小学唱歌でした。正式には、次のような素敵な歌だったのでここで全国のよい子の皆さんとご一緒にのどちんこを全開しながら大きな声で合唱してみたいと存じます。

♪土手のスカンポ ジャワ更紗 昼は蛍がねんねする 
僕ら小学1年生 今朝も通って また戻る 
スカンポスカンポ川のふち 
夏が来た来た ドレミファソ

みなさん、いかがでしたか。ちゃんと歌えましたか。とってもいい歌ですね。
特に「昼は蛍がねんねする」というところと、最後の「夏が来た来たドレミファソ」というコーダはあーだこーだを許さないとてもチャーミングなもの。昨今の、歌詞が聞こえない、出鱈目英語入りのあほばかポップスなど足元にも及ばぬ白秋&耕作ゴールデンコンビの至高の境地でしたね。

私はこのスカンポソングをハミングしながら楽しく「世界の更紗」展を見物しました。展覧会のチラシによれば、更紗とは「主に木綿の布に手描きや型を使って文様をあらわしたもの」を指すそうですが、織りでなくなく染めで文様を作るところがポイントです。

原産国はインドですが、たちまちジャワ(インドネシア)近辺に飛び火し、ここから17世紀の大航海時代の東インド会社の貿易ルートを経由して、東は中国、日本、西はヨーロッパ、ロシア、中東、アフリカまでほぼ全世界に伝播していったようです。

それにしても同じ文様をアレンジしながらジャワ更紗、ペルシア更紗、アフリカ更紗、フランス更紗、日本更紗のおそろしく微妙で多彩な差異よ! ここに統合を夢見つつもけっして単一化されざる世界文化の一典型があるようにも思われます。

なおこの興味深い展覧会は新宿の文化学園服飾博物館にて9月25日まで開催されています。


♪ジャワ更紗サラサはスカンポの柄に似て 茫洋



by amadeusjapan | 2010-07-26 12:31 | ファッション

文化学園服装博物館で「ヨーロピアン・モード展」を見る



茫洋物見遊山記第21回&ふぁっちょん幻論第59回

18世紀のマリー・アントワネットの時代から1970年代のポスト・シャネルの時代まで、200年の時系列をいっきに通覧する欧州モードのコレクション・ア・ラ・カルトです。

これを一瞥していると、それぞれの時代の社会経済政治文化の流れを、いかに当時の女性の衣服がストレートに反映していたかが、あちこちで読みとれてなかなかに興味深いものがあります。
とりわけ私が細い狐目をお皿のように丸くして、食い入るように眺めたのが1920年代のドレスとバッグでした。

不自由なコルセットから解放され、過剰な装飾についに別れを告げ、のびのびと美脚を街頭に向かって突き出したミニドレスたちのなんと簡素で美しいことよ!

大胆なフォルムと目の覚めるような色、柄、デザイン、そして選び抜かれた最高級の素材と繊細な意匠の数々。なかんずく溜息が出るような藝術的な完成度を誇るのは、あまりにも小さな、そしてあまりにも華奢な布製のバッグ。これぞアールデコの極致、人類文化史上の最高傑作といっても過言ではないでしょう。

1920年代が現代ファッションの原点であるとよくいわれますが、それどころかここにこそ近未来のトレンドの源流が凝集していると確信できた垂涎の展覧会でした。


♪ガングロの娘美白になりて娘と歩いてる  茫洋



by amadeusjapan | 2010-04-20 19:15 | ファッション

アレクサンダー・マックイーンの死



ふぁっちょん幻論第57回

外電によれば英国のデザイナー、アレクサンダー・マックイーンがロンドンの自宅で
亡くなったそうです。世界でも指折りの非凡なクリエーターであった若冠40歳の孤独な死は、惜しみても余りあるものといえましょう。

ロンドンのセントマーチーン・アカデミーを卒業して1996年にロンドン・コレに参加し、その後まもなくジバンシーのデザイナーとしてめざましい活躍を続けた彼は、2001年からはみずからのブランドでパリとミラノのコレクションでメンズとウイメンズの作品を発表し、シーズンごとに高い評価を集めてきました。

アレクサンダー・マックイーンは、つねにファッションの領域を拡大し、前人未到の新しい美を追求しようとする強烈な意欲と冒険精神の持ち主でした。たとえばロンドンのストリート系雑誌「デイズド&コンヒューズド」の依頼に応じてコムデギャルソンなどとともに重度の身体障害者をモデルにした作品を発表したり、03春夏パリコレでは義足のモデルを起用するなど、健常・障碍の区分を超えたユニバーサルデザインに対して先進的な取り組みをみせていました。彼は、私たちが美しいとみなす世界の外側に、もうひとつの美しさを見出すことができた人でした。

けれどもファッションに対してきわめて前衛的な考え方を持ち、その理想を追求しようとすればするほど、バブル崩壊後の世界不況の嵐は、彼のファッションポリシーと生き方を苦難にみちたものに変えていったに違いありません。
他のデザイナーたちと共に、一方では着易いリアルクローズを提案し、プーマ社と提携するなど「食うためのデザイン」を推進すればするほど、「この世にあらざる理想のデザイン」を夢見る彼の良心はするどい痛みを覚えたに違いありません。

彼が死の直前に製作し、私たちへの最期の贈り物となったのは201年秋冬物のミラノコレクションでしたが、そこで登場するメンズウエアたちは、まったくコンセプトの異なる2種類のグループによって暴力的に引き裂かれているようです。

一方における「万人に愛されるリアルクローズ」と、まるでアフガニスタンのアルカイダへの孤独なオマージュのような、「異様でアバンギャルドなシュールレアリスムウエア」――。おそらく彼の内面におけるこの2つのベクトルの存在と内部矛盾、そしてその不可避的な対立と分裂の激化こそが、彼の早すぎる自死の引き金となったのではないでしょうか。

今宵私は、マックイーンと同じような悩みをかかえて激しく苦悩しているであろう山本耀司氏や川久保玲氏、そのほか数多くのクリエーターの健闘と自愛を切に祈りたいと思います。


死んでしまえばすべて終わりだよ山本耀司 茫洋

生きておればさらなる高みに登れたが足元の岩ぐらり崩れて 茫洋



by amadeusjapan | 2010-02-14 10:40 | ファッション

「三井家のきものと下絵」展を見る



茫洋物見遊山記第7回&ふぁっちょん幻論第54回


新宿の文化学園服飾博物館では、「三井家のきものと下絵」展が12日まで開催されています。

三井家は、江戸時代の日本橋で越後屋呉服店を開店し、本邦最大規模の呉服小売店として大繁盛しました。維新後は三越などを中核とする財閥を形成しわが国の資本主義の発展と拡大を担ってきた名家ゆえに、歴代の和装品の数々を所蔵していましたが、その収蔵品の一部が現在この博物館の重要なコレクションとなっているわけです。

今回の展示会では、安土桃山時代以降、江戸、明治に至る様々な着物と下絵合わせて70余点が紹介されています。
それらを通覧して分かるのは、安土桃山時代の内掛けの衣装デザインの絢爛豪華さです。これは狩野派などの襖絵にも通じる要素ですが、豊臣が滅ぼされ、徳川の御代に転じるに従って、同じ山川松柏鶴亀のモチーフにしても構図とデザインの放胆さが次第に薄れ、小手先の技巧が勝っていく趨勢がみてとれます。

次はデザインの三次元化です。桃山、江戸初期、中期までは着物全体を二次元とみなした平面的な図柄が中心でしたが、江戸後期に入るとそれが立体的な構想をそなえた三次元デザインに進化します。内掛けの背後から眺める人の鑑賞を意識して、背中と胴体と下半身の各パーツに描かれる風景や植物や動物の位置や大きさが意図的にデフォルメされていくのです。デフォルメといっても、着物の鑑賞者にとってはより自然に生きた姿形として受け取られたわけです。

そして、このデザインの三次元化&デフォルメを実現するために、三井家に対して大きな影響を与えたのがわが丹波亀岡出身の画家、円山応挙でした。動植物の写生と西洋画伝来の遠近法を得意としたこの円山四条派の始祖は、それまでの着物を大きく改新するニューデザインを開発することによって、パトロンの期待と新ビジネス需要に応えたのでした。
本展には、亀居山大乗寺(応挙寺)所蔵の下絵もいくつか展示されており、これらを実際の内掛けと見比べてみるのも一興です。


♪丹波なる亀岡の里より出でし人応挙光秀王仁三郎 茫洋



by amadeusjapan | 2009-12-09 15:30 | ファッション

「超流行上口中等洋服店」



ふぁっちょん幻論 第45回

これまで明治維新以降のわが国の洋服化の歴史について縷々述べてきましたが、実際は和服に親しむ人たちの潜勢力は根強いものがあり、ようやく大正13年の関東大震災以来、洋服が次第に定着することになったのでした。

昭和7年1932年12月16日、日本橋の白木屋本店(現在のコレド日本橋)で火災が発生し、死者14名、重傷者21名の惨事となりましたが、このとき着物を着ていて、消防夫に下からのぞかれることを苦にして逃げ遅れて亡くなった女性がいたそうですが、この話を伝え聞いた多くの人々が洋装に切り替えたといわれます。

さて「ふぁっちょん幻論43回」で木村慶一、山崎隆造、丸山幸作などメンズの偉大な師匠たちをご紹介しましたが、昭和を代表する個性的なテーラーといえば、(私の母の身内であるという身贔屓からではなく)、まずは上口愚朗(作次郎)に指を屈することになるでしょう。

上口愚朗は、明治25年に東京の谷中で生まれました。彼は小学校を卆業後、宮内省御用の大谷洋服店に弟子入りしテーラーとしての腕を磨きました。当時の慣習に従って丁稚奉公しながら自学自習に励んだようですが、ボタンホールの手縫いの精密さはピカイチだったそうです。

そして大正末期に「超流行上口中等洋服店」を開店したのですが、なんといってもこのネーミングが最高ですね。当時はモガ・モボが新古典派、和服地モーニングなどで銀座を徘徊していました。「超流行上口中等洋服店」のポリシーは、“客自らが来店しないと作らない。値段は教えない。国産生地は使わない。採寸せずに仕立てる”という猛烈なものだったそうですが、逆にこれが人気を呼んで棟方志功など熱烈な愛好者たちが谷中に殺到したそうです。

昭和初期の背広の仕立代は1着25円だったのに、この店では100円以上。ファンから稼いだ金で上口愚朗は江戸時代の大名時計や中国・韓国・日本の茶陶器を収集し、これが現在の谷中の「大名時計博物館」の貴重なコレクションになったのです。

上口愚朗は昭和13年に川喜田半泥子を訪ねて作陶に打ち込み、井戸、志野、黄瀬戸、唐津、古瀬戸、山茶碗、彫三島、天目掻落し、独創的な野獣派陶碗などを彼独自の「ウンコ哲学」で制作しましたが、昭和45年に78歳で没しました。


♪桜散るわが仕出かししことの後始末 茫洋



by amadeusjapan | 2009-04-12 10:29 | ファッション

背広の値段 



ふあっちょん幻論第42回

明治20年代当時、もりそばは1銭5厘、下宿代3円50銭、フロックコート仕立て23円、英国地フラノスーツは16円であった。そこで高価な1着であらゆるTPOに対応するべく、明治の洋服は礼服(主にフロックコート)需要に集中したのである。

明治22年、正岡子規は、「3年前に8円で作らせた軍艦羅紗の外套が粗悪品だったので12円で上等品を仕立てた」と彼の随筆「筆まかせ」に書いている。
この頃の注文服は大卒初任給の給料と同額であったが、これはその前の時代の「仕事着としての和服」を月給を前借りして1か月分の値段で仕立てていた伝統が残ったものと思われる。

ちなみに昭和3年1928年の大卒初任給は50円。これは当時のオーダーメードと同額であり、きわめて高価な「高嶺の花」ともいうべき価格であった。そこで「着心地より丈夫で長持ち」の思想が生まれる。

私の知人で最近バーバリーのコートを大枚をはたいて買った女性がいるが、「一生物を長く大切に着たいから買った」と言っていた。
衣服にも資産価値を追求する思想をinvestment clothingというが、これはファッション誌「ハーパースバザージャパン」の最新号のテーマであるから、およそ100年近く威力をふるっている衣装哲学であるといえよう。


♪着古したセーターが人間より長持ちする考えてみれば不思議だなあ 茫洋



by amadeusjapan | 2009-04-03 08:28 | ファッション

永井荷風、西洋料理を論ず



ふあっちょん幻論第40回 メンズ漫録その18 断腸亭主人紳士洋装論最終回


ゼントルメンともあろう人物が、洋服に憂き身を窶しても料理にはてんで構わないのはまことにおかしい。

そもそも西洋料理の出来栄えは、コンソメ、吸い物を味わえば、そのすべてがわかる。フルコースなど喰らう必要はないのである。

1926年(大正15年)現在、本邦の西洋料理のベストは、横浜・神戸のホテル、銀座、神田小川町の順である。されどデザートや洋酒の備蓄が弱いのは残念なり。白ぶどう酒はボルドー産は甘すぎて食事に適せず。すべからくライン産を備えよ。

銀座周辺地区においての第一位は銀座竹川町コットなりしが、今はなし。日比谷帝国ホテル、築地明石町オテルサントラルよろしからず。けだし東都最美味は虎ノ門東京倶楽部なるべし。されど外交官、華族集会場なれば身分なきものは出入りしがたし。

銀座南鍋町の風月堂良し。木挽町精養軒、芝口有楽軒、京橋三橋亭だめなり。麹町富士見軒、新橋金春通り壷屋よし。

東京市中でアイスクリームが登場したのは明治32、3年頃のことなり。当時はチップを1割与えしものなり。

浅草公園の料理屋に個々のテーブルなく、NYウオール街のレストランのごとくカウンターで食事するスタイルの食堂あり。これ本邦の最新型スタイルなるべし。

されど、売春婦を写真と切符で買う国民は、世界広しといえども日本国のみならん。浅ましきこと限りなし。


嵐の夜西御門の哲人セネカのごとく逝けり江藤淳 茫洋

雷鳴が轟き渡る西御門セネカのごとく自刃せし君 茫洋



by amadeusjapan | 2009-02-22 15:47 | エッセイ

あまでうすが綴る音楽と本と映画と詩とエッセイ
by amadeusjapan
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

以前の記事

2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月

最新のコメント

sukebass117..
by amadeusjapan at 11:47
コメント失礼します。 ..
by sukebass117 at 14:39
こんにちは。 私も汐留..
by desire_san at 23:10
santiargonさ..
by amadeusjapan at 14:18
明白な輪郭も色彩もなく、..
by santiargon at 13:54
santiargon さ..
by amadeusjapan at 11:21
desire_sanさん..
by amadeusjapan at 11:19
こんにちは。 私も六本..
by desire_san at 06:39
埴谷雄高の『自動律の不快..
by santiargon at 04:23
こんにちは。 私も六本..
by desire_san at 13:23

メモ帳

最新のトラックバック

ライフログ

検索

タグ

ファン

ブログジャンル

画像一覧